PiPi's World 投稿小説

勾玉キッス☆
官能リレー小説 - 性転換/フタナリ

の最初へ
 113
 115
の最後へ

勾玉キッス☆ 115

 入門編の套路を一通りやって見せて、ルオは元の直立姿勢に戻った。
 自然、生徒の間から拍手が起こる。ルオは照れたようににやにや笑った。

 みな思い思いにルオの動きをマネしだす。
 俺もやるか、と思ったところで、後ろからにゅっと腕が伸びてきて、腹の前にからみついた。

「さあ雅ちゃん、先生に身も心もゆだねるのよ」

 ささやき声がやたらめったら甘い。耳元に吐息が触れる。もう唇も触れてるんじゃなかろうか……
 抱き寄せられてぎゅっと背中が密着する。
 柔らかな胸、引き締まった腹部、下腹から腿までぴったりとはりついてくる。麗華姉ぇの体のかたちが、細部にいたるまではっきりとわかってしまう。
 無意識に体が熱くなってきた。これはまずい。
 
「あの……先生……授業……」
「先生と同じように動くのよ」

 うふふ、と笑って麗華姉ぇが俺の右手をとる。片手は腹にからんだままだ。
 裸の下腹に触れるひんやりとした手の感触に、俺は思わずぶるっと震えた。
「力を抜いて…そうよ、骨盤を感じて」
 腰の後ろに骨盤があたってるのがわかる。
 力を抜いてと言われても、緊張して体が縮こまってしまうのをとめられない。
 だいたい太極拳の立身中正とは別のものになっている気がする。
 これはあれだ。美容番組でやってるビューティーウォーキングとかそういうやつだ。たぶん。
 じっくり見たことはないのではっきりとは言えないけど。

 どうしたもんか。必死に考えていたら助け舟が入った。

「だめだめだめね、センセイ。どくある」

 助け舟ルオは、教師に向かってだめだめと手を振った。のみならず、ぐいっと俺の手をひいて麗華姉ぇから引き剥がす。
 いい度胸だ。
 俺は何が起こるかとごくりと唾を飲んだのだが、予想に反して麗華姉ぇは何も言わなかった。面食らっているようだ。……意外とアドリブに弱い。
 そうしているうちに生徒の一人が彼女を呼んだ。呼ばれて離れていく麗華姉ぇに俺は心底安堵しながらルオの方に向き直った。

「イメージはそうね……頭のてっぺんを糸一本でまっすぐつられてる感じ……でよかたかな、裕美?」
「そうね老師」

 入門者向けの易しい言い方をルオが裕美に確認する。
 本当はそんな気を遣う必要ないのに。裕美との推手に付き合える程度の基本はわかっているつもりだ。

 が、俺は余計なことは言わず、言われるままイメージした。
 筋力で体を支持できる男の体とは違って、このやわらかい体では骨や内筋のゆがみがバランスにダイレクトに影響する。
 脱力し、軸をとるという感覚は、今の体の方が理解しやすい気がした。

 プールの底についた足元から、順に組み立てていくように重心を探りながら姿勢を作りあげていく。
 なるほど水中でというのは悪くない考えだった。
 重心がわずかでもぶれれば、横方向の圧力に簡単に持っていかれてしまう。
 最後にすっと顎をひいて、軸を確認しながら体の力を抜く……

 ルオが「おー」と感心したように驚きの声を上げた。
 集中していた俺は、ルオの声にはっと我に帰った。

「上手上手。びくりしたね、口で言ってなかなかてきるものじゃないヨ」

うんうんと腕を組み、ルオが感心している。俺は咄嗟に姿勢を元に戻す。
 
「うふ…」

 勢いで、たっぷんたっぷんと薄い化繊に覆われたおっぱいが揺れる。
  と同時に少し姿勢が崩れた。どうもバランスを取るのが難しいようだ。
 
「おとっと……そ、そうなんですか?お、わ、私、ルオさんのを見て夢中でやってみたから……」

 適当に誤魔化してみる。俺は今の行動で、ボロが出るんではないかと心から心配になっていた。

「いやいや。私から見ても雅ちゃんの動きには感心するある。もしかして何か拳法でもやっていたあるか?」

「ギクっ!?」

 やばい、普通にやっていたつもりなのだが、やはり動きは素人ぽくなかったのか?
  俺はドキドキしながら

「い、いえ。私、体を動かすのが好きなんですよ〜」

「そうあるか。う〜ん。雅ちゃんなら拳法を教えたらすぐ覚えそうあるね。そうだ!放課後、裏の道場に来るよろし」

「え?わ、私が…ですか?」

「うんうん。雅ちゃんなら教えがいがあるよ。ねぇ、裕美もそう思わないか?」

「え、ええ。老師がそう言うなら…」

 チラっと裕美が俺を見る。

 俺はどんな顔をしていいものか迷った。別に嫌なことではない。だが、今日の放課後というのは少し……

「でも老師、明日からにしましょ? 今日はこの子、いろいろ新しいことばっかりで疲れちゃってるから」
 
 心を見透かしたように、裕美はそう続けた。
 俺はびっくりして裕美を見た。彼女は平然とした様子だ。

「そうね。転校初日じゃ慣れるのでタイヘンあるからな」

 ルオはあっさりと頷いた。

「……裕美、別に俺…」
「今日は早めに帰りましょう。麗華さんの実家に寄るの」
「え? 何で?」
 きょとんと聞き返すと、裕美はあきれた顔をした。

「あのねえ、ミヤビのこと気にならないの?」
「あっ」

 朦朧とした屋上での時間のことを、はっきりとは思い出せない。
 だが重い束縛から時折浮上する瞬間に、確かに巫女ミヤビの姿を俺は見ていた。そして、ようやく幻姫から解放されたとき彼女はいなかったのだ。

「麗華さんの実家に居候しているって聞いたわ。もしかしたら帰ってるかもしれない。……一度消えちゃったけど、たぶん体を取り戻してるはず」
「消えた? 体を取り戻す?」

SNSでこの小説を紹介

性転換/フタナリの他のリレー小説

こちらから小説を探す