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勾玉キッス☆
官能リレー小説 - 性転換/フタナリ

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勾玉キッス☆ 107

「う〜〜ん、完璧ぃ!」
「うん、いい物が撮れた」

 神村と森崎が満足そうに言う。
 一方、俺はというと、何か大事なものを無くしてしまったような感覚に陥っていた。

「ううっ、お婿に行けない……」
「それを言うなら、お嫁に行けない、でしょ」
「あのなぁ、裕美。俺は……」

 裕美の言葉に俺は抗議しようとするが、裕美は素早く首を横に振った。その仕草は、『それは言っちゃダメだよ』と言わんばかりだ。
 俺はすぐさまうなずく。アイコンタクトはとりあえず成立する。
 その時。

「いいわよね、あなたたちは。そうやって見せびらかすようなことが出来るのも、胸が大きくてスタイルがいいからでしょ。
 いいわよね、胸が大きくて、スタイルもいい人って。何かと得だものね。
 私もあなたたちみたいになりたかった。私のおばあちゃんも、おばあちゃんのお姉ちゃんも胸が大きくてスタイルも良かった。けど、私は胸も大きくないし、スタイルも良くない。
 だから、私はあなたたちがうらやましい。
 ムカつくくらいに」

 憎悪がこもった声がした方向に俺は振り向く。俺だけじゃない。裕美も、森崎も、神村も。
 俺たちの視線の先には、白のセパレート水着を着たクラスメイトが、怒った顔で仁王立ちしていた。
 片倉魅雪。2年1組の学級委員長。
 一言で言うなら、絵に描いたようなマジメな秀才。そして、絵にかいたようなメガネっ娘。
 だが。
 委員長のメガネには、度が入っていない。
 コンタクトレンズケースを持っているが、両眼用ではなく、片眼用のケースなのだ。
 俺は委員長が、何か人には言えない秘密を持っている気がしてならない。
 俺が男だった時に、委員長に思い切って聞いたことがあるのだが、教えてくれなかった覚えがある。

「委員長。何で人の乳に嫉妬しているのさ?」
「胸の大きな人には分からないわよ。胸が大きくない人の悩みなんか」
「あのねぇ、委員長。胸の大きな人にだってそれなりに悩みはあるんだよ。肩こりに悩まされたり、軽い女にしか見られなかったりするんだよ。それがどれだけ苦痛か」
「そんなの何よ。胸が小さい人の悩みに比べれば、あまりにも小さな悩みだわ」

 委員長がますますヒートアップしている。
 神村がなだめ、森崎が説得するも、委員長は聞こうともせず、言い返していく。

「委員長。乳が大きい人の悩みも小さい人の悩みも、ボクには五十歩百歩に見えるんだけど」
「神村さんには分からないことだわ」
「さるヒーローのおばあちゃんは、こういうことを言っていたんだ」

 神村はそう言うと、右手の人差し指を空に…いや、天に指し示した。
 あのポージング、どこかで見たことがある。

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