勾玉キッス☆ 103
むしろ、誰かに覗かれているってことは、ボクたちに性的な魅力があるってことだろ?
ボクはちょっと嬉しいけどね。こんなボクでも女として見られているんだなって」
「言われてみれば、それもそうよね」
森崎が口を挟む。
森崎もまたタオルで体を隠すことなく、堂々とブラを外していた。
神村と同じか、それ以上に豊かな胸と数多くの傷あとがあらわになる。
俺は………うん、森崎には勝ってるな。
少し複雑だけど。
「森崎さん。タオルはどうしたの?」
裕美は呆れて森崎を見ている。
「隠す必要なんかないでしょ? 誰も見ていないんだから」
「……あなたたち、羞恥心はどこへやったの、羞恥心は!?」
「そんなもの、あったかなぁ?」
「私は……燃えるゴミの日に捨てちゃった。
大体、羞恥心なんかが残っていたら、芝居なんて出来ないよ」
……も、燃えるゴミの日って、おい。
まるで羞恥心などとっくに捨ててしまったかのように、神村はとぼけながら、森崎は思い出しながら、しれっと言ってくれる。
目が泳いでしまいながらも、俺はふと、森崎の身体中に残る傷あとに目がいっていた。
多くの女子たちなら、うらやましがるであろう豊かな胸。バランスのとれたプロポーション。
ずっと前に聞いた話では、森崎は演劇部にいたらしく、ずば抜けた演技力で有名だったらしい。
俺がじっと見ていたことに、森崎が気付く。
「どうしたの桐生さん。さっきから私をじっと見ていて。
私のおっぱい、そんなに気になる?」
「あっ、いや、そうじゃなくて」
いきなり下ネタまがいのことをふられ、俺は慌てる。ニヤリ、と森崎が笑う。
「じゃあ、私のおへそ?」
「でもなくて!」
「言わなくてもいいよ。その下の“茂み”と“茂み”に隠れた“花園”が気になったんでしょ?
やっぱり、桐生さんにも“そっちの気”があったんだね。
私は嫌いじゃないよ、そういうの」
「だ、だ、だ、だから違うって! そういうことじゃねぇって! あっ、しまっ………」
さらに慌ててしまった俺は、言った後でとんでもないミスをしたことに気付き、口を両手でふさいだ。
……やっちまった。みんなの前で男言葉を使っちまった。
「ん? どうしたの桐生さん。口なんかふさいで」
「何、何? 雅ちゃんが口をふさぐほどの何かがあったのかい?」
森崎と神村が次々に俺の顔をのぞきこむ。
どうやら、二人とも気付いていないようだ。
おれは落ち着きを取り戻そうと、静かに深呼吸をしてから、両手をゆっくりと下ろした。
「あ、あの。何でもないです。何でも」
「そう? それじゃあ、なんで私をじっと見てたのかな?」
森崎が俺の顔をのぞき込むように見ながら言う。
俺は落ち着いて、男言葉が出ないように慎重に言葉をつむぐ。