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MATRIX/Anomaly
官能リレー小説 - 二次創作

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MATRIX/Anomaly 6

トリニティーとモーフィアスが最近頻繁に侵入して、トーマス・アンダーソンを探していた。
それを俺は知らなかった。
人間乾電池にされている人間の割合が減り覚醒した人間の数が増えるほど、世界のセキュリティーは侵入を受け入れやすくなる。
それも俺は知らなかった。
俺はヤクザに利用された人妻の瑠美を覚醒させた。瑠美は強く今の自分の現実から逃れたいと願っていた。ヤクザにつけ込まれて、慰みものにされていたら自殺する者もいるだろう。その現実を受け入れてなりゆきまかせに生きる者もいるだろう。
瑠美はそのどちらでもなかった。だから俺に自分のことを暴露したのだ。
システムにエネルギーを捧げながら、仮想現実でヤクザに搾取されていた瑠美。彼女がシステム打倒を理想とする集団に救助されるか、別のセキュリティーによって処分されるかは俺にはわからない。
俺だっていつ処分されるかはわからない。
この世界にいる者はそのリスクが常にある。
ジャンキーだったら金を受け取り薬を手に入れることを望んだはずだ。瑠美はジャンキーになりかけたが、絶望しきってはいなかった。薬に依存して絶望をうやむやにするのを耐えていた。
本当の世界がどうなっているかなんて俺にはどうでもいいが、何人も侵入者とセックスをして本当の世界がどうなっているかを俺は聞かされていた。仲間になってほしいとも言われたことも何度もある。
システムという敵の打倒を理想として行動している集団が、理想を達成したらどうなるか考えてみるがいい。この仮想現実の世界にいる俺たちと同じように、それぞれやりたいことを始めて団結は失われる。
システムの支配を必要としているのは、本当は解放を理想とする集団なのかもしれない。
システムが人間乾電池からの離脱を容認しておいて、さらにエージェントスミスなどセキュリティーと戦わせるのは、なぜなのだろう。
人間をエネルギー源にしているとすれば人間を全滅させるはずはない。システムによって保護されているとも考えられる。
現実の世界では特殊な機械がある施設で精子と卵子を取り出して授精させて培養育成でもしているのか。仮想現実の世界ではセックスで増殖している。
もちろん不慮の怪我や病などで亡くなる者もいる。現実の世界で処分された者はこちら側でも死ぬのか。では、病院に搬送され医師の治療により九死に一生を得る者はどう説明するのか。
死への恐怖心を与えるためのシステムの演出なのかもしれない。
世界中の性感を共感して受け入れるのは、精神崩壊、心の死と紙一重の体験だ。男の俺でも射精する一瞬には心臓が止まるのではないかと感じ、意識が消え去り目の前が真っ白になるほど絶頂がある。
その一瞬はすぐに甘美な余韻や気だるさにすりかわり失われる。しかし俺とセックスした女たちは何回も繰り返し連続で絶頂する。そんなこと男には耐えられない。
一滴残らず搾り取られて、意識は朦朧となったまま衰弱しきって死んでしまうのではなかろうか。
男は女にくらべて快感に耐えきれない。あまりに脆弱すぎる。

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