PiPi's World 投稿小説

MATRIX/Anomaly
官能リレー小説 - 二次創作

の最初へ
 1
 3
の最後へ

MATRIX/Anomaly 3

俺がファミレスでハンバーグセットを頬ばっていると、俺の向かい側にエージェントスミスがやって来た。
「侵入者と接触したはずだ」
「接触って何だよ……」
「侵入者は何処だ?」
「逃げた。なあスミス、どんな女も快楽漬けになるはずだろう、なんでならなかったんだ? 俺は殺されかけたぞ」
「確認完了」
エージェントスミスはすぐにファミレスから出て行く。俺は舌打ちした。
ラファエラと俺が一緒にいるか確認しに来ただけだったようだ。
エージェントスミスは俺の苦情を聞かずにいつもの仏頂面で任務を続ける。
エージェントスミスは仮想現実の世界に侵入してくる人間乾電池をやめた連中がいると捕まえて記憶や意識を消去する。
俺も本当の現実では人間乾電池なんだろうが、俺にとってはこれが現実だ。
「まったく何が楽しくて生きているんだろうな、奴らは……」
エージェントスミスは仮想現実の世界で無駄に殺人を犯す者にも制裁をくわえる。たとえば、サイコパスで殺人に快楽を感じるような連中は、善良な人間乾電池を減らすことになる。
俺は金に不自由しない。毎日使った分だけ財布に金が補充される。俺は許容範囲内らしい。やりたい女を見つけてレイプするだけで、どんな女も世界中の牝が感じている快感が女を襲う。
ただし、クリスマスみたいに恋人たちがやりまくる日はやった女は一生忘れられない快楽を心に刻まれることになる。
今日は世界規模でセックスしている連中が少なかったのかもしれない。
エージェントスミスと俺たちとは違う機械のようなものなのだろう。全体のシステムの一部であることにはかわりない。
システムの部品であることからドロップアウトすることは、簡単なことだ。世界全体がニセモノだと気がつけばいい。だが、気がついた世界もまだ仮想現実ではないかと疑わないのはなぜだろう?
エージェントスミスは仮想現実か現実かなんて気にしている様子はない。
ラファエラは世界の構造に気がついてドロップアウトした。さらにエージェントスミスに見つかり、スミスの言い方なら俺と「接触」した。
それが世界にとってどんな意味があるのかは俺にはわからない。
神のみぞ知る、といったところだ。
ラファエラは一度の「接触」で陥落しなかったことは、エラーなのか、ラファエラには役目があって俺から逃がされたのか。エージェントスミスがターゲットを見失うのはどのくらいの確率なのだろう?
俺はファミレスを出て、他の侵入者の女がいないか歩いてみたが見つからなかった。
世界は法と秩序が維持されているらしい。
俺は今夜は何処に泊まるか考えて、ラファエラとセックスしたラブホテルで一泊することにした。
理由なんてない。ただラファエラと俺の関係の痕跡を、俺がたどることで何が起きるのを期待していた。
起きるのが俺の死であっても、それは偶然ではなく必然だと俺は考える。
偶然なんて、この世界にはあり得ないのだ。

SNSでこの小説を紹介

二次創作の他のリレー小説

こちらから小説を探す