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魔堂戦記
官能リレー小説 - 戦争

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魔堂戦記 17

「何がおかしい?」
「いや、昔を思い出しただけさ」
「ふん」
九尾が鼻をならしてそっぽを向き、タケルはまたクスクスと笑う。
蛇神は訝しがりながらもミリファに顔を向ける。
「それにしてもおぬし、嫁に行ったのではないのか? まさか、もう暇を出されたのか?」
「ち、違います! 私は用件があって来たんです」
「ふむ。なるほど。そうなればミリファは良いとして、おぬし達はさっさとどっか行け。また毒息で死にかけたいか?」
「ほざくな、毒蛇」
豪っと九尾の全身から放たれた膨大な咒力が突風となって吹き荒れ、蛇神は眉を潜め、紫電を立ち昇らせる。
「妾はまだ今先の借りを返しておらん。その鱗を全て剥ぎ取って蒲焼にして食ってやろう」
「狐ごときがよく言う。さっきのは私の慈悲で助けただけだぞ。その薄汚れた毛皮を剥いで泥拭いに使ってやらんでもない」
二人の美女の間で空気が撓み、紫電と妖風が舞い上がり、ミリファが悲鳴を上げる。武は腰元の鞘から刀を少しだけ引き抜き、静かに呟く。
「……お前ら、少しは落ち着け……」
 決して殺気があったわけでも、凄まじい魔力を発していたわけでもない。
 それなのに九尾と蛇神――神とまで呼ばれる魔獣たちは動きを止め、武をまじまじと見た。
「蛇神様。まずは話し合いといったはずだ。殺し合い、潰しあい、なら、その後でも出来るでしょう?」
まぶたを開けた武の双眸は黒から歪な碧へと虹彩を変えていた。九尾はそれに気づいたが蛇神は武の双眸の色の変化などという些細なことに気づいていない。
 神が人間如きの顔など覚える必要すらないのだろう。
「ふん、やはり、只の人間ではないということか。よかろう。話はしてやる。しかし、貴様、いや、貴様とそこの女狐は気に食わん。話が終わった後、どうなるかは知らんぞ」
「それでも構いませんよ。では少し場所を移しましょうか?」
タケルの提案に蛇神は頷き、ミリファが声を出す。
「それならタケル様と九尾様に見て欲しい場所があります」


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