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世紀末を生きる女傭兵部隊
官能リレー小説 - 戦争

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世紀末を生きる女傭兵部隊 12





ジャンクタウン
戦前は車や電化製品等の金属ゴミの巨大集積所のある町で、戦後はスカベンジャー達によって発展したスラムである。
建物はボロボロ、道路はヒビだらけであるが廃材を利用した家や店が乱立しており、多くの人で賑わいをみせていた。

「さぁさぁ!無放射能のきれいな水はいらんかね!!」
「どうだい?こいつは軍施設から手に入れた新品同然のライフルだ!こんなもの中々手に入らないぞ!」
「うちのドライフルーツは全て無農薬だ!安心安全の品だよ!!」

特に大通りは活気に満ちており、両側に屋台がズラリと並んでいて常に人で溢れていた。
その中を二人の少女、シオンとミーシャが仲良く歩いていた。
折角の外出だけにまずは小遣い銭の許す範囲、ふだん食えないモノでの腹ごしらえだろうか…買い出し要員の御指名を仕った故の特権、そして地域交流を含めてボラれない為の情報収集も兼ねてである。

「エーラッシェー!十本買ったら二十本オマケ!アイエー!」

でもアレは虫というか無視、虫食材は平気というか常識な時代なのだがあの黒い虫の固形食、手軽に繁殖するコスパ最高オーガニック素材で高タンパクかつ脂っ気たっぷりだの、いくら安くてもアレはやめとこうと二人は顔を見合わせてスルーした。
おそらくシティからの横流し品、どぎつい建設関係や製造プラントの労働者階級だとか、何かしら防衛組織の下級新兵に無料配布(と称して実際は給料天引きかピンハネ)されるらしい…ブラックな虫レーション、そんなもん金払って食いたくはない。

「あっ、あそこの店がいいんじゃない?」
「そうね、いきましょうか」

二人が向かったのは元々あった建物を廃材で修復したテラス付きの飲食店である。手書きの看板からしてここはバーガーショップのようだ。
カウンターに近寄りしばらくすると店員らしき女性がやってきた。

「いらっしゃいませ。ご注文をどうぞ」
「えーと、ネズミバーガーのセットで」
「じゃあ私はソーセージミミズドッグのセットをお願いします」
「ではサイドメニューとドリンクをお選びください」
「私はカリカリバッタフライとサボテンジュースを」
「コウモリナゲットとドリンクは一緒で」
「かしこまりました。全部で8ナットとなります」

ナットとは外世界の通貨であり文字通りボルトのナットのことである。ちなみに1ナットは100円ぐらいの価値である。

「はいどうぞ」
「丁度お預かりします。8番テーブルにてお待ちください」

注文を終えたシオンとミーシャは席に着く。今は昼時なのかかなりの客で賑わっていた。
「あら、もしやシオンとミーシャではありませんか?」
「む、そのお嬢様みたいな喋り方は……」

声のする方にシオンが振り向くとそこには貴族のように髪を縦ロールにした少女が立っていた。ただし服装は鉄板入りレザーアーマーでありいかにも彼女の雰囲気とミスマッチしている。そして何より目立つのが両足が機械の義足、サイバーレッグであるということだ。そしてその後ろには取り巻きと思わしき傭兵少女が三人付き添っていた。

「カロッサじゃない!見回りの休憩なの?」
「えぇ、そうですわ。そちらは?」
「今隊長達と一緒に来て買い出しの最中。モニカさんはいつものお店で商品の値段交渉をしてると思う」
「じゃあ暫くは支部の方にお泊まりに?」
「うん。多分一週間ぐらいかな」

ハーメルンはジャンクタウンやいくつかの村と契約を結んでおり、一定の金額や品物を支払う代わりに町の自警団をやっているのだ。実際、彼女らが自警している所は治安がよく村も略奪目的のゴロツキは滅多なことでは近寄らないし、変異して凶暴化した野生生物も簡単に駆除している。
後は困り事があれば依頼という形でやってきては解決している。

「それじゃあわたくし達も何か頼んできますわ」

カロッサはシャツの端を摘まんで令嬢のようにお辞儀をすると取り巻き達と一緒にカウンターへと向かった。
そしてすれ違いに店員が二人の注文した品を持ってきた。

「おまたせしました。ネズミバーガーセットとソーセージミミズドッグセットです」

シオンの前にはネズミパテのバーガーと袋一杯に詰められたカリカリにフライされたバッタ、ミーシャの前にはソーセージ並みの大きさの焼いたミミズを挟んだホットドッグに頭と内臓を取りカラリと揚げたコウモリナゲット5ピース、そしてウチワサボテンの実のジュースがそれぞれ置かれた。
二人は待ってましたとばかりに美味しそうにバーガーとホットドッグにかぶりついた。

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