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原始戦争
官能リレー小説 - 戦争

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原始戦争 1

時は太平洋戦争末期、南太平洋にうかぶ小さな島…ここに日本海軍航空隊の飛行場があった。

ある夜、海軍将校の軍服に身を包んだ二人の若者が満天の星空を見上げながら語り合っていた。
「佐藤、ついに俺達も明日出撃だな。お前、もう家族に遺書は書いたのか?」
「ああ、書いたぞ。…250キロ爆弾を抱えて敵艦に体当たり…この命をもってお国のためにご奉公できる…誇らしい任務だ。きっと両親と妹も喜んでくれるはずだ。鈴木、お前の家族だってそうだろう」
「そうだな…だが、ただ一つの気がかりは妻と一歳になる俺の娘だ」
「そう言えばお前は戦争が始まる前に結婚していたんだったな。娘とは一度も…?」
「うむ、写真でしか見た事が無い。俺が死んだ後、年老いた両親と妻と幼い娘…生きていけるだろうか?」
「心配ない。恩給が出るはずだ。きっとお前の事を誇りに思って生きていくだろう」
「そうか…そうだよな。少し気が楽になったよ」
そう言うと鈴木と呼ばれた青年は少し寂しそうに空を見上げた。

翌日。
「「佐藤太一郎少尉、鈴木春彦少尉、これより出撃いたします!」」
「うむ、頼んだぞ。我々も必ず後に続く。靖国で会おう」
飛行服に身を包んだ二人は水盃を交わして司令官にサッと敬礼すると戦闘機に乗り込んだ。

グオォォォォォン…

ニ機の飛行機の爆音が遠ざかっていく…。
「最後の二人がいったか…皆いってしまったな」
司令官は小さくなっていく二つの機影を見て感慨深げにつぶやいた。
そこへ、整備兵が大慌てで走って来た。
「司令〜!大変です!ラジオをお聞きください!」

『…珍は時運の赴く所、耐え難きを耐え、忍び難きを忍び…』

「これは…?」
「終戦です」
「マジかよ…」

そんな事など露知らず、ニ機の特攻機はアメリカ艦隊に向かって飛び続けていた。
(何て蒼くて綺麗な海と空なんだ…今が戦争中だなんて嘘のようだ…)
佐藤太一郎少尉はぼんやりとそんな事を考えていた。その時だ。

ブウゥゥーーーン……ボスンッ…ブ…ブブブブブブ…ブスゥ〜…プスン…パスン

「え…!?」
太一郎の飛行機のエンジンが突如として黒い煙を吹き始め、その直後、停止した。
「ええぇぇぇ〜〜〜〜〜!!!?」
推進力を失った飛行機はどんどん速度を落とし、ついには失速した。
「うわあぁぁ〜〜!!!そ…そんな馬鹿なあぁ〜〜!!」
くるくると回転しながら墜ちていく飛行機の窓から最後に見えたのは、どこまでも広がる蒼い空と海、遠ざかる鈴木の飛行機、そして何故か生い茂った緑の木々だった…。


太一郎は夢を見ていた。
「どこだここは?真っ暗じゃないか…」
「佐藤…」
「あ!鈴木じゃないか。なあ、俺達は一体どうなってしまったんだ?」
「佐藤、俺は行くぞ…」
「行く?どこへだ?…あれ?気のせいか…何か薄いぞ、お前?」
「佐藤、俺の分まで…ぃ…」
「…あ!おい!鈴木!待て!待ってくれ!俺を置いて行かないでくれぇー!!」

………
……


「う〜ん…す…鈴木ぃ……あれ?」
「ア!ネノタメサガメ」
「…君は…誰だ?」
目覚めた太一郎が最初に視界に認識したのは、自分の顔を覗き込む一人の少女の顔だった。どうやら横に寝かされているらしい。
「ワタッモオトカノダンシ。ヨノタテッムネモカッミタナア」
見れば可愛らしい顔立ちの美少女ではないか。歳の頃は16〜17。肌の色は健康的に日焼けした褐色…いや、地肌だろうか。頭には真っ赤なハイビスカスのような花を差して髪飾りにしている。
しかも彼女は股間に小さな腰布を巻き付けているのみで、ほとんど裸のような格好をしていたのだった。魅力的な褐色の肉体を惜しげもなく太陽の光の下にさらけ出しており、彼女が身体を動かす度に、その豊かな乳房がプルンプルンと揺れた。
「何だ…ただの天国か…」
太一郎はフッと笑ってつぶやいた。
「“アイラ”ハエマナノシタワ。ハエマナノタナア?」
少女は自分の胸に手を当て、次に太一郎を指し示して言った。語調から何かを尋ねているようだ。まあ普通に考えて、初対面の相手に尋ねる事と言ったら…
「…名前か?君はアイラというのか?自分は大日本帝国海軍少尉、佐藤太一郎という者だ」
「ダイニッポン…?」
「違う!佐藤太一郎!太一郎!タ・イ・チ・ロ・ウ!」
「タイチロー?」
「そうだ。太一郎だ。太一郎」
「ネノウイテッ“タイチロー”。ワタッカワ」
「う〜む…どうも君の言葉は良く解らん。だが一応俺の名前だけは理解してくれたようだな」

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