PiPi's World 投稿小説

征服と支配
官能リレー小説 - 戦争

の最初へ
 7
 9
の最後へ

征服と支配 9

「うむ、良きかな良きかな…」
それを見て皇女は満足げであった…。

「ときにシュテルンよ、エルミナ王レオナルドとイレーネ妃、それにアリシア姫は未だ見つかっておらんそうだな?」
「はっ!閣下、仰る通りです…」

実は…というか当然の事ながら、外交上、各国の君主同士は親交があり、その家族も含めて互いに見知った仲である。
さらにイストニア皇家とエルミナ王家に関して言えば、親戚関係だ。
これは特に珍しい事ではない。
古代から近代に至るまで常に戦乱の絶えなかったこの大陸においては、各国は(いずれかの時代にか結ばれた)同盟関係…すなわち婚姻関係で複雑に結び付いていた。

「国王一家に仕えたメイドの母娘を拘束しておると訊いたが…?」
「はい、現在尋問を行っておりますが、何の情報も引き出せておりません…」
「尋問か…よし!その場所へ案内せい。妾(わらわ)自ら問いただしてくれようぞ」
「えぇっ!?か…閣下が、御自ら…ですか…?」
「何だ?何か問題でもあるのか?」
「……」
アルトは黙る。
この皇女サマをあの尋問現場に連れて行ったら何か…何かが起こりそうな気がしてならないからだ。
「どうした?急に黙りこくりおって…」
「…あぁ…ええと…そのですね…」
「何だ?申してみい」
「はあ、つまり、尋問などという、ともすれば野蛮で暴力的な行為に、尊き神々の血をお引きあそばせたもう閣下のような高貴な御方が御手をお染めあそばします事は、イストニア帝国軍人として非常に心苦しく…」
「何と!シュテルン、そなた妾を案じてくれるのか!だが心配は無用だ!妾は気にせぬゆえ早よう連れて行け!」
「えぇ〜、でもぉ…」
なおも渋るアルトに、エーディットはグッと顔を近付けて彼を睨み付け、急に声を低めて尋ねた。
「それとも…妾が要らぬ事をして事を荒立てる可能性があるゆえ遠ざけておきたいか…?」
「め…め…滅相もありません!!」
図星を突かれて焦るアルト。
足りないと思っていたら妙に鋭い所もある。
意外性に驚かされた。
…というか皇女の顔が近い。
顔立ちだけを見れば、正に神々しいまでの美人なのだから、あまり近寄られると…困ってしまう。
「フンッ!どうだか…まあ良い。改めて命ずる。案内せよ、アルト・フォン・シュテルン大佐!」
「か…かしこまりました、閣下」
もう従うしか無かった…。

そして…
「こちらでございます、閣下」
「うむ!」
鉄製の重い扉がギギギ…と音を立てて開いた。
「む…っ!!?」
室内で繰り広げられていた光景…すなわち、裸で吊され鞭打たれる母娘の姿を目にした途端、エーディットはカッと目を見開いた。
「貴様らぁっ!!!!一体何をしておるっ!!!?」
「あぁ?誰だよ…って殿下ぁっ!!?…いや、閣下ぁっ!!?」
「ななな…何故にこのような所へ…っ!!?」
拷問係の将校と兵士達の驚きようと言ったら無かった。
エーディットは怒りを露わにしながら母娘を指差して将校に問い質した。
「質問しておるのは妾だ!!!これは何だ中尉!!?見たところ無抵抗の女達を裸にして鞭で打っておるように見えるが!!?」
「そ…その通りで合っております…」
「ふ…ふざけるなあぁぁっ!!!!イストニアの軍人として恥を知れえぇっ!!!!」
「ひいぃっ!!?し…失礼いたしましたぁ!!!今すぐ止めます!!!この二人も解放いたしますぅ!!!」
「ばかものっ!!!手ぬるいと言って怒っておるのだ!!!」
「「「え…っ!?」」」
そっち?…と、その場にいた全員が思った。
「オイ!!貴様だ!!貴様!!」
鞭打ち係の兵士を指差して詰め寄るエーディット。
「は…はい、閣下!!!」
「貴様!!相手が女だからといって手加減しておっただろう!!?本気で鞭打っておれば皮膚が裂け、血が噴き出し、骨が露出するはずだ!!貴様それでも拷問官か!!?それでもイストニア軍人かぁ!!?」
「で…でもシュテルン大佐の命令だったんですぅ!!」
「ちょっ…おま…っ!!?」
急に自分に振られてアルトは焦った…だが、その通りだったので何も言えなかった。
「…シューテールーンー…」
エーディットはアルトを振り返った。
美しい顔立が悪鬼のように歪んでいる。
「…!!!!」
アルトは人生の終わりを覚悟した。
ところが…
「…フッ…フフ…フフフフフフ…アァーッハッハッハッハッハァ…ッ!!!!」
「…?」
エーディットは何を思ったか、急に高らかに笑い出したのだ。
よもや今までのは全て冗談か…そうでなければ、お怒りの余りに気でもお違えあそばされたか…。
アルトも釣られて笑い出す。
「…アハ…アハハハハハ…」
「何がおかしいっ!!!?」
「すいませんっ!!!!」
「…まあ良い。貴様らがナメた尋問をしていた件については後回しだ…」
そう言うとエーディットは兵士から鞭を奪い取り、母娘に歩み寄った。
「ククク…喜ぶが良い…本当の拷問がどういう物なのか…この妾が教えてやろうぞ…」
「「ひいぃ…っ!!!?」」
母娘は咄嗟に身を強ばらせる。
きっと本能で察したのだ。
この女は今までの連中とは違う…本気で自分達を殺しに来ている…と。
そんな二人に、エーディットは尋ねる。
「それでは訊こう…国王一家の居場所は何処だ?」
母エミリアが震えながら答えた。
「し…信じてください…私達は何も知らされていないのです…本当です…」

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す