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兵隊制度
官能リレー小説 - 戦争

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兵隊制度 10


そんな時、交尾にいそしんでいた1体のオスから悲鳴が上がった。
この世のものとは思えない悲鳴を上げ、股間を押さえてゴロゴロと地べたを転がっている。
見れば股間からは大量の血があふれており、先ほどまで楽しんでいたメスの股間からも同じように血が滴っている。
オスのヴァルファクターがもがき苦しむ中、手持ち無沙汰になったメスは身体を起こすと血まみれになった股間に手を突っ込み、そこから何かを取り出した何かで自慰を始める。
それは今地べたを転がり悶えているオスの男性器だった。
あまりに激しい性行為に、男性器が耐え切れなくなり、根元から千切れてしまったらしい。
よく見れば周囲には彼と同じように男性器を破損して悶えるオスの姿がいくつか確認できた。
だが驚くべきはこれからだ。
男性器を失い、想像を絶する苦痛から回復する牡個体。
しかしさすがに失った男性器を再生することはできず、何もない股間を必死にいじくりまわしている。
もう性の快楽を味わうことはできないのに・・・と思われたが。
男性器を失ったはずのオスの股間にはあり得ないものができていた。
女性器だ。
なんと男性器を失ったヴァルファクターの股間に女性器ができていたのである。
つまりオスのヴァルファクターたちは死んだのではない。
男性器がもげて女性に生まれ変わっただけだったのだ。
それは人間では絶対にありえない、新生物とも言うべきヴァルファクターにのみ許された回復手段であった。
では。オリジナルであるルクスも同じように女性化しているのか?
その答えはNOだった。
他のオスは個体差こそあれ、次々と女性化しているのにルクスだけはそうならなかった。
それだけではない。彼は他の個体と違い、食事も睡眠も摂っていないのである。
その秘密は彼の身体に埋め込まれたファトン鉱石と数々の人工臓器・人工筋肉、薬などにある。
ファトン鉱石のエネルギーがルクスの身体を回復し続け、人工臓器や人工筋肉が肉体の疲労や損壊を最小限に抑えているのである。
言わば生きた永久機関、歩く発電所と言うべき肉体を実現しているのである。
まさに怪物と呼ぶにふさわしいチート能力である・・・が、問題が全くないわけでもない。
エネルギーが無尽蔵にあるということは、その身体には使われないエネルギーが蓄積しやすいということでもある。
余分なエネルギーはどこかで使うか捨てるかしなければならない。
だがルクスの身体にはもうエネルギーを使い切ることはできない。
すでに彼の身体は再生と強化に使用されていて、他にエネルギーを使う余地などないのだから。
しかし余分なエネルギーを何とかしなければ肉体がその負荷に耐えきれず崩壊する。
空気を入れ続けた風船が破裂してしまうように。
つまりルクスは反則級の力と引き換えに、あふれるエネルギーを処理し続けなければ死んでしまう身体になってしまっていたのだ。
今のところ彼はそれを仲間を作る能力に費やすことで肉体を維持しているようだが、それで大丈夫なのかどうかは怪しいところだ。
事実、今抱いているメスのヴァルファクターは元が子供だったとは思えないほど大きく、そして美しく成長している。
ルクスが自滅するのが先か、世界が彼を滅ぼすのが先か。
はたまた第3、第4の選択肢が存在するのか。
その答えを知るものは誰もいなかった。

遠く離れた極東の地“大和”にもカリマ公国からの移民を受け入れていた。この国は先の大戦で敵国からファトン鉱石を高濃縮したファトン弾により二つの都市が壊滅させられるも強力な海軍力によりその敵国のファトン鉱山を吹き飛ばし衝撃による連鎖反応により敵首都に大震災を与え、停戦に持ちこんだのである。とは言えファトン鉱石を使用したENに関しては殊更厳しく水素を燃料した内燃機関と太陽光や風力、地熱と言った自然再生EN研究では最先端である。ファトン弾を使用された都市に置いてその後両性具有を持つ子供が出始めていたのである……これにはかつての敵国であるリベスオルも予想だにしなかった。この研究に関しては賛否両論でカリマ公国の学者らも否定的な見解を示したが人体に影響する事で研究を進めた……その最悪の結果、新生物を作り出してしまったのである。

「ヴァルファクターは爆弾で……あんな事に」
「そうだろうな……報告書によれば死体処理へと向かう最中に覚醒した。その兵士らが逃げたのは正解だな、その後どんな火器を受けても再生し進化していく。最後のあの爆弾さえも耐えきった……」
爆弾の衝撃に耐えきった、というのはさすがに勘違いである。
いくらヴァルファクターと言えど、生まれたての時点で研究施設を吹っ飛ばすような爆発には耐え切れない。
むしろ生まれたての時期にそんな攻撃に打って出たのは最良の選択だった。
だが相手は人間から生まれた怪物である。
近くにいた警備員を瞬く間に皆殺しにしたルクスは、我が身を守るためにすぐさま逃亡を図った。
その直後に研究施設が爆破され、ルクスはその余波で手ひどい傷を負った。
生命の危機にファトン鉱石はヴァルファクターの肉体を回復させるとともに怪物と呼ぶにふさわしい強化を行ったのが真相である。
なら今度も同じ手を使えば、と思うかもしれないがもうその手は使えない。
今、ルクスは自分の劣化版とは言え、数多くのヴァルファクターを増やしている。
幸いまだ繁殖には成功してないようだが、あれだけの数を全部爆弾で処理するのは不可能に近い。
それにルクスが潜伏しているのは国立寄宿舎学園。
すなわち無関係な一般人がごろごろいる都市のど真ん中。
そんなところに施設1つを吹っ飛ばすような兵器を使えるわけがない。

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