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兵隊制度
官能リレー小説 - 戦争

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兵隊制度 5

当然ルクスは己の潔白を訴えた。
だが今は戦時中、それも戦争に勝つために人間を兵士を産む道具とする国の公的機関がそんな容疑者の言葉に耳を貸すわけがない。
彼はろくな抵抗もできずにあっさりと拘束され。
国家に逆らった重罪人としてある場所へと連れて行かれた。
そこは拘置所などという、生やさしいところではない。
この国では罪の大小問わず、犯罪者となったものの行き着くところ。
別名『帰らずの収容所』。アルカトラズ収容所である。
ここで彼はなぜこの施設が『帰らずの収容所』と呼ばれているのか。
そしてなぜ彼が無実の罪を着せられたのか、知ることになる。

「オラッ!さっさとここに入れッ!」
「うわッ!?」

収容所の兵士に突き飛ばされ、ルクス1人は牢屋に閉じ込められた。
戦時中とはいえ、鉄格子に電子錠を取り付けただけのアナクロな牢屋。
今の時代、こんな原始的な牢屋が残っているだなんて、それだけでも十分に値する。
だがそれよりも気になるのは。
なぜ自分がここに閉じ込められなければならないかということだ。
何しろ彼には国家反逆罪どころか、犯罪になるようなことなど何一つしていないのだから。
そこでルクスは思い返してみる。
つい最近で今までと違う、おかしなところはなかったかを。
その心当たりはすぐに見つかった。

「・・・まさか・・・所長が?」

それは前日の所長からの呼び出しだ。
もしかしたら、あの時すでに自分は何か怪しまれていたのかもしれない。
最悪すでに自分をここに送り込むことが決定していたのかも。
だがそれでもわからないことがある。
なぜ自分が罪を着せられたのか?
自慢じゃないが、ルクスは下っ端だ。
とてもじゃないが、国家反逆罪なんてたいそうな罪を着せられる器ではないはず・・・?
ルクスが首をひねっていると。

クスクス・・・。くっくっくっ・・・。

そこかしこから男のものと思われる不気味な笑い声が響いてきた。
どうやら周囲の牢屋にいた囚人たちのもののようだ。
こんな冷たい牢屋に閉じ込められて、いったい何を笑っているのかと思いきや。
隣の牢屋から声をかけられた。

「いよう、お隣さん。アルカトラズ収容所にようこそ!
 おまえさん、見たところずいぶんと若いようだが・・・何をやらかしたのかね?
 好みの種兵か妊兵でもかすめ取ったか?
 それともどこかの上司にありもしない罪でも着せられたか?」
「・・・!ど、どういうことですっ!?何で、あなたがそれを知っているんですかっ!?」

図星をさされ、驚いたルクスは思わず質問を返す。
冷静に考えればカマをかけられただけとわかりそうなものだが、経験したことのない異常事態の連続に、そこまで頭が回らなかったようだ。
バカ正直なルクスの答えに、牢屋は一時静まり返る。
だが次の瞬間、そこら中からルクスをあざ笑う不愉快な笑い声が周囲を包み込んだ。
それはルクスに声をかけてきた男も同様だった。

「はーはっはっはっ!コイツは驚いた!
 今まで欲をかいて運ばれてくるバカや無実の罪を着せられたアホってのは腐るほど見てきたが・・・。
 おまえみたいな、何も知らない大馬鹿野郎は初めてだ!あーっはっはっは・・・!」
「!? !?!? ど、どういうことですっ!?
 笑ってないで説明してくださいよっ!?」
「ひーひー・・・い、いいだろう。死ぬ前に大笑いさせてくれた礼に教えてやるよ。
 たぶんおまえはハメられたんだよ。働いていたとこの上司に罪をなすりつけられて、な!」
「な・・・!?」

やっぱり、という思いとそんなまさか、という思いがルクスの心を満たす。
そんな中、隣の囚人は実に楽しそうな様子で言葉を続ける。

「で、おまえに罪をなすりつけたそいつは、すべてを闇に葬るべくおまえをこのアルカトラズ収容所に送り込んだってわけだ。
 ここならおまえがよけいなことを口走る前に始末できるからな!」
「し、始末・・・!?」
「ああ。おまえ、なんでこの収容所が『帰らずの収容所』って言われているか、わかるか?
 ここに来たヤツらは軍の人体実験に使われて、みんなおっ死んじまうからさ!」

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