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兵隊制度
官能リレー小説 - 戦争

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兵隊制度 3


忘我の世界に浸る女。
まだ足りないとばかりに男を求める女。
まだ薬の効果が続いているのか、狂ったように自慰を続ける男。
言葉すら忘れて防護服を着た男を犯そうとする男。
戦場とはまた一味違う地獄に辟易しながら、ルクスは今日も兵士量産の勤めを果たした兵士たちを洗浄室に連れて行く。
彼らはそこに放り込まれて身体をきれいにした後、個室に拘束されて仕事の時間まで待機させられる。
個別に拘束するのは、そうしないと死ぬまで交尾をし続けるからだ。
記録によれば、発情した兵士たちが世話係に襲いかかったこともある。
ルクスは仲間とともに次々と兵士たちの後片づけを済ませると、やっと終わったとばかりに安堵のため息をついた。

「あ〜・・・やっと終わった。
 これでようやくゆっくりできるよ・・・」
「おい、まだ安心すんのは早いぜ?
 まだ生殖室の掃除が残ってる。しっかり掃除しないと上から何言われるかわかんねーぞ」
「おお、悪ぃ悪ぃ。すぐやるよ」
ルクスは苦言を呈する仲間に謝ると、すぐにモップを片手に生殖室の掃除に取り掛かった。
また精液や愛液、母乳などで汚れたりするのだから掃除など必要なさそうだが、何らかの病気が発生して兵士の生産に問題があってはまずい。
これも種兵・妊兵たちの面倒を見る兵士たちの大事な仕事であった。

「あ〜あ、今日もまたこんなに汚しやがって・・・。
 種兵・妊兵はいいよな。ただ獣みたいにヤッてるだけでいいんだから。
 オレも早く世話係をやめて、連中のお仲間に入りたいよ」
「入りたいって・・・マジかよ?あんなの、人間の姿じゃねえだろ」

ルクスが心底嫌そうに言うのを聞いて、仲間の兵士は不思議そうに答えた。

「何言ってんだよ?あんな女をとっかえひっかえヤレる機会なんてそうそうねえぞ。
 しかもたくさんガキを仕込むだけであとは何もしなくていいなんて天国みてえな話じゃんか」
「そりゃまともな意識があればの話だろ?
 あんな性欲だけの・・・穴さえあれば何でもいいような連中になるなんて、オレはゴメンだね」
「は〜・・・変わってるな、オマエ」

呆れたようにつぶやく相方を無視し、ルクスは再び掃除に意識を集中し始めた。
1日の作業を終え、ようやく自由の身の上となったルクスは自室に戻り、2段ベッドの上で勉強を開始する。
妊兵・種兵の世話係に過ぎないルクスみたいな兵士に個室など与えられることはない。
これは与えられた4人部屋の一角で、一刻も早く昇進しようと貴重な自由時間はできるだけ勉強や自己鍛錬に当てていた。
15〜25歳の男女は兵士の量産に従事するのは当然の義務だが、そのすべてが常に兵士の生産をやっているわけではない。
その一部はルクスのように妊兵・種兵の世話をさせられたり、その優秀さから繁殖の仕事を免除されたりすることがあるのだ。
ルクスはあんな人間でない生き物になりたくなくて、一生懸命努力を続けていた。
たくさんの知識や強い肉体を持てても、それを扱う技量や指揮能力などは一朝一夕で身につかないのだ。
何より、上官ともなればその扱いも格段に良くなる。
給料などは当然として、階級に応じて専属の種兵・妊兵が与えられるのだ。
あんな獣に成り下がることなく、好きに女を抱くことができる―――。
それはルクスにとって、地獄にたらされたクモの糸であった。

そんなある日のこと。

「ルクス=ファーン一等兵!
 所長がお呼びである!ただちに所長室へ向かえ!」
「はっ・・・?は、ハイっ!」

今日も今日とて種兵・妊兵の面倒を見ていたルクスは突然所長の呼び出しを受けた。
だが彼には所長に呼ばれる心当たりがない。
何しろルクスはただの下っ端、相手はこの生殖室を含めたすべての施設でもっとも偉いお方だ。
一緒に作業していた仲間たちも、なぜルクスが所長に呼ばれるのかわからず、率直な質問をぶつけてきた。

「おいおいルクス。おまえ、何かミスでもやらかしたのか?
 所長に呼ばれるなんて・・・」
「い、いや所長に呼ばれるような大ポカはやらかしていないはずなんだけど・・・?」
「何をぼやぼやしている!?さっさと行かんかぁッ!!」
「ハッ!も、申し訳ありませんっ!」

不安げに仲間とかわすルクスに上官の怒声が落ちる。
これ以上怒鳴られてはたまったものではないと、彼は急いで所長室へと向かった。

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