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兵士の生産
官能リレー小説 - 戦争

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兵士の生産 4


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逃亡に失敗した3人が絶望に打ちひしがれていた、その頃。
3人を無事回収した若き将校チータは自室で安堵のため息をついていた。

「あーもー、見つかってホントによかった!これで捨て駒にされずにすんだよ。
 ったく、あのバカ上司、自分の無能さを棚に上げてあーだこーだ口出しばっかしてきやがって・・・。
 少しは自分で何とかしてみろってーの!」

別に3人の逃亡は上司だけのせいではない。しかしその責任を取らされるのはいつだってその下にいる人間だ。
この世界で生きていくためには強くなるか偉くなるしかない。
しかし今回はそうなる前に危うく上司に責任を押し付けられ、消されそうになってしまったのだった。

「・・・ま、生きていられただけでもめっけもん、か。あの3人には悪いことしたけどなー・・・」

1度でも脱走をたくらんだ危険分子を生かしておくことなどありえない。
今頃死ぬよりつらい生き地獄に放り込まれているだろう。

(もうちょっと脱走するのをためらってくれたら助かったかもしれないけど・・・。
 運のないヤツはどうやったってムダってことなのかね)

なんて薄情なことを考えていると。コンコンと誰かがドアをノックする音が聞こえてきた。
脱走騒ぎで遅い時間にいったい誰が訪ねてきたのか。
チータが質問するより先に、向こう側の来客が名乗りを上げた。

「私だ。エト=ミゼル博士だ。偏頭痛で困っていると言っていただろう?
 薬を持ってきた。中に入れてくれ」
「―――どうぞ」

偏頭痛。それはエト博士とチータが2人で極秘に進めている『ある計画』を話し合うための合言葉。
チータはその顔を真剣な表情になって博士を招き入れた。
「失礼する」

そう言ってやってきたのは、いかにも研究一筋に生きてきたと思われる1人の女性。
地味な色合いの服の上に白衣をまとい、顔は分厚いメガネをしている。
長い髪の毛を後ろで1つに束ねているが、手入れはしていないのか頭はボサボサ。
クセっ気なのか、いたるところで髪の毛がはねていた。当然化粧もしていない。
およそ女らしさの欠片もない来客は持参してきた偏頭痛の薬をチータに差し出す。

「頼まれていた薬だ。いつも通り1週間分持ってきた。
 薬を飲んでもまだ頭痛がひどいようならば、私のラボまで来るように」
「了解。それにしても今日はずいぶんと来るのが遅かったね?
 これ以上待たされるなら、こっちから取りに行こうかと思っていたところだよ」
「私もおまえ1人だけを相手にしているわけではないのでね。
 こっちにもいろいろ都合というものがあるのさ」

当たり前のようにエト博士は部屋のベッドに座り。
チータもまたごく自然のように淹れたてのコーヒーを用意し、博士に差し出す。
「相変わらずきれいな部屋だな。こんなにマメに掃除していてはゴミの1つも出ないのではないか?」
「もちろん。部屋中、埃の1粒だって落ちてやしないぜ?」

その次の瞬間、博士の身体からふっ・・・とかすかなこわばりが消えた。
先ほど会話に出ていた『ゴミ』とは盗聴器や隠しカメラのこと。
博士はこれから極秘の話を行う上で、話して問題ないかの確認を取ったのだ。
この時代、どこで誰が目を光らせ、耳をそばだてているかわからない。
ここまで警戒するのはむしろ当たり前のことだった。
部屋の安全を確認した博士は、クールな女博士の仮面をかなぐり捨ててチータに抱き着いた。
彼女の素の性格を知っていたとは言え、思わぬ行動にさすがのチータも焦った。

「ちょ、博士!?いきなり何してんの!?」
「それはこっちのセリフだ!脱走者を出すなんて何を考えている!?それも3人も!
 失態を犯した兵士や将校がどうなるか、おまえだって知ってるだろう!?
 責任者じゃないとは言え、おまえが処罰の対象になる可能性があったんだぞ!」
「あー、いや、それは悪い。うん、悪かったと思っている」
「言葉が軽いっ!わ、わたっ・・・私をおまえなしじゃいられないカラダにしておいてっ・・・!」

博士はそう言うと、抑えきれないとばかりにチータの唇を奪った。
舌をねじ込み、愛しい男の口内を思うがまま蹂躙する。
だが彼女が優勢だったのはそこまでだ。
情熱的なキスをしていたはずの博士はいつのまにかチータに主導権を奪われ。
気が付けばトロけた表情でベッドの上に組み敷かれていた。

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