PiPi's World 投稿小説

南海の尖塔
官能リレー小説 - 同性愛♂

の最初へ
 1
 3
の最後へ

南海の尖塔 3

「おいっ! 何が起こってるんだ!」
「助けてくれっ」
「いやだぁあああっ」
悲鳴を上げる男達がどんどん姿を消していく。
そして最後に残った一人の男が足掻くように必死になって両手で腰まで浸かっている部分を持ち上げていた。だが、それが限界だったようで男は両腕を広げて仰け反った。
「うわあああっ!!」
叫び声と同時に男の姿が見えなくなった。
「ひっ…………」
俺は思わず息を飲む。一瞬にして一人分の影すらなくなってしまったのだ。
中に大勢を入れたまま謎の円盤は閉じてしまう。そしてしばらく卑猥な音を鳴らしたかと思うと次々に何かを吐き出していった。
それは彼等の残骸かと思ったが、そうではなかった。彼等が着用していた水着だけが吐き出されたのだ。
内部ではどんな卑猥なことが起こっているのか想像もしたくない。
とにかくこれでこの周辺に居るのは俺だけになってしまった。
塔から降りてどこかに逃げ出したいが、海岸にはあの円盤があると思うと恐ろしくなってくる。いつ動き出すか、どんな動きをしてくるかわからないのだ。
だからといってここに居ても何もできない。
「くそっ、どうすりゃいいんだよ!」
毒づきながらも俺は塔の内部へと戻ることにした。
先ほどの盗賊達はやはり一度も塔には入ってなかったらしく、誰かが出入りした痕跡はなかった。部屋の中を見回す。
特にこれといったものは置いていないようだ。宝箱とかそういうものは一切ない。ただ、床の上に小さな台座がありその上に何かが置かれていた。
「これは……」
手に取ってみる。するとそれが一体なんであるのかすぐに理解できた。
「鍵だ……しかもこいつは」
見覚えのあるものだった。かつて、俺たちの仲間の一人が持っていたものだ。
『勇者の鍵』と呼ばれる代物である。

どういう仕組みになっているのかはわからないが、これを持っていれば扉を開けることができるらしい。
「もしかしてあの銀色の円盤と関係があるのでは?」
そう考えた時、ふと思い出したことがあった。
以前、仲間たちの間でこんな噂を聞いたことがある。
それは迷宮の奥深くにあるといわれる宝物庫の話だ。
そこには財宝が収められているという話だったが、実際にそこへ行った者は誰一人として帰ってこなかったという。
俺はそれを仲間の噂話の一つとして聞いていただけだが、目の前で盗賊達が飲まれていく光景を見たら真実味を帯びる。
帰ってこなかった男達は同じように円盤に飲まれたのではないか?

SNSでこの小説を紹介

同性愛♂の他のリレー小説

こちらから小説を探す