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勇者の子孫
官能リレー小説 - 同性愛♂

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勇者の子孫 6

 

 ようやく忘れていた武器を取り戻したヘニングは、衛兵に子孫達の行方を聞いたのだが……。
「子孫? もうみんな出発したぞ?」
 衛兵はさも当然のよう言い放つ。
「――ッ!!??」
 ヘニングはその場に項垂れた。
(これ……一人一人探し出すしかないじゃねえか……)
 メンドクサイ。実にメンドクサイ。
 しかしながら、そうなってしまったのは偏に呑気に体を清めて服を着替えていたせいであって……ヘニングは、自らの癖を恨む他なかった。
 うかうかしていたら、彼の探す人物がどこに行ったのか分からなくなってしまうかもしれない。
 こうしちゃいられないと、ヘニングは出発の準備を進めた。
 早く追いかければある程度なら追い付けるだろう。急ぎ城下町を歩き回り、必要な物品を購入していく。
 すると、そんな彼の耳に少女の声が聞こえた。
「――……父を知りませんか? 勇者の子孫の一人なんです」
(父……?)
 ヘニングが声の方を見ると、マントを頭から被った人物が通行人の業者や兵士にそう声をかけ続けていた。
(……もしかして……)
 その少女に心当たりのあるヘニングは、静かに彼女の方へ足を向けた。

その少女に声をかける者が居た。
クアドみたいに粗暴な雰囲気の男だ。
やはり彼も装備が軽装で、腹筋が露出している。髪はクアドと違って茶髪だった。
その男は少女に何やら話すとそのまま二人でどこかにいってしまう。明らかに怪しいので追いかけて話しかけてみるべきだろうか?
へニングが選んだのは、少女と男の後を気づかれずに追跡することだった。 余計なお節介焼きにはなりたくないが、このまま放っておいていいことのようにも思えない。
案の定、男の足は裏通りへ向かっていく。非合法な店が多く並ぶが、取り仕切る反社会勢力の力が大きく取り締まることもできないこの場所。
「おにーさん、ちょっと遊んでいかない?」
彼に声をかける娼婦──婦、と言うにも若い。13か4といったところか──に数枚の大銅貨を押しやり追い払う。
あの年で娼婦に身をやつさなければならないのには哀れみすら覚えるが、いちいち彼女たちを救っていてはきりがない。それに彼女らは救いを必要としていないだろう。
救うべきは──あの少女だ。
少女をつれる男の足は、ある店の前で止まった。

 ヘニングは確かに見た。男と少女が、その店に入るのを。
「ここは……」
 店の風貌を見たヘニングは、すぐに理解した。
 その店こそ、娼婦を取り仕切る場所。その店を拠点に娼婦達は客を求め街を徘徊し、売上を献上する。街でヘニングに声をかけてきた娼婦もまた同じなのだろう。
 先程の娼婦も、少女と同じくらいの年齢だった。となれば、あの少女とはいえ……。
「……クソ」
 意を決したヘニングが中に入ろうとした時、中から怒声が響いてきた。
「バカヤロー!! 紛らわしい格好してんじゃねえ!!」
 そしてそれに続き件の男が現れ、少女を荒く外に放り出す。
 ヘニングは眉間に皺を寄せた。
「……おい。ガキ相手に何やってんだよ。しかも女だぞ?」
 だが男は、ヘニングを睨み返す。
「あ? 誰だか知らんが、余計な口を挟むな。……それにこいつ、女じゃねえよ」
「……は?」
 一瞬男が何を言っているのか理解出来なかった。
 ヘニングはおそるおそる、少女を見る。すると少女は、少し顔を赤くしながらヘニングに伝えた。
「……あ、あの……。僕、男の子です……」
「――ッ!?」
 ヘニングに衝撃が走った。
 
「で、お前は誰だよ、若えの」
男はむさ苦しい髭に覆われた口の橋を歪ませ、へニングに問う。
「あー、その子の……兄だ」
「兄のくせに弟の性別も知らねえのか?」
「あ、いや、それは……」
「ふん、まあいい。うちは男娼は扱ってねえんでな。好きなようにしろよ。」
男は少女──いや、少年だったか──の背を押し、へニングに押しやる。

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