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勇者の子孫
官能リレー小説 - 同性愛♂

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勇者の子孫 4

そしてもがきつつ立ち上がったもう一人が腰の剣を抜くが、反撃の隙は与えない。
砂を蹴り目をくらませると、闇雲に剣を振るってきたのでその腕にぐさりと深くナイフを刺す。
すると痛みに叫び剣を落としたので、これ以上騒がれる前に肩から腹にかけてをばっさりと斬り下ろす。
「……お、おい。待ってくれ!」

またたく間に手下を殺されて、剣を拾いながらもクアドは腰が抜けて何もできないようだった。
「お、俺だって勇者の子孫だ! 国王の許しもなく殺していいはずもねぇ! 今ここで俺殺したら……あんたの立場だって悪くなるぞ!」
まくしたてるように助命のための言い訳を言い募るクアド。
そんな彼に、へニングはちょっとした気まぐれで話しかけてみる。
「……なぁ、なんで俺がこの城に来たかわかるか?」
「なんでって……国王の話を聞くためじゃ……」
「そうだな。国王だからな。呼ばれたら、来なきゃいけない」
そう答えつつ、歩み寄る足は止めない。
血が滴る剣をだらりと下げて、腰を抜かしたままじりじりと後ずさるクアドへと視線を向ける。
「でもな、もっと別の目的があるんだ」
「目的……?」
「そう」
クアドの問いかけに頷き、へニングは薄く笑う。
「俺は傭兵だ。傭兵は、金を積まれれば誰にでも雇われる」
「え?」
理解できないという表情で固まるクアドの愚鈍に苛立ちつつ、へニングは核心をつく言葉を言い放つ。
「分からないか? 俺の仕事は勇者の子孫の抹殺だ。魔王の依頼を果たすには、この場はちょうどよかったんだよ」
ようやく理解したのか顔を青くするクアドに、へニングはついに声を上げて笑ってしまう。
「言い得て妙だと思ったよ。魔王より勇者の方が金になる、だろ?」
語り終えたへニングは、クアドの前に立ち剣を振りかぶる。
そしてその首めがけて振り下ろそうとしたその時。
「じゃ、じゃあ!」
「?」
唐突に声を上げたクアドに、へニングは束の間手を止める。
そしてクアドの発言を待つ。

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