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勇者の子孫
官能リレー小説 - 同性愛♂

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勇者の子孫 3

ヘニングがどうにか城に戻ろうと思案していると、門の所で休んでいたクアドの姿が目に入る。よく見えないのだが、クアドは手に何か長い物を持っている。
一瞬だけ嫌な気持ちになったが、どうやらそれは自分が落とした剣ではないらしいので安心をした。自分の剣は銀色だが、それは赤黒い…長さは同じくらいなのだが。
「おお、どうしたんだ、そんなに息を切らして?」
近づいてくるへニングに気がついたクアドは手を振って彼を迎えた。
「いや、忘れ物をしてしまって。剣が──」
言いかけて、クアドの持つ剣に目がいく。先端から滴る赤黒いものは──血。
同時に殺気を感じ、へニングは後ろに飛びずさる。
ひょお、と風を切る音とともに赤黒く染まった剣が一瞬前まで彼の胴のあったところを通り過ぎる。
「ほう、これをかわすか……なかなかやるじゃないか。さっきのやつは声も上げずに死んだぜ」
クアドは剣を構え直し、嘲笑するように言った。
「なんのつもりだ?」
「俺は阿呆じゃないんでな。魔王を倒すより、勇者を倒したほうが実入りがいいことくらいわかるさ」
「はっ、野盗は所詮野盗か……下衆なことを考える」
勇者を殺し、その持ち物と装備を奪う──たしかに魔王を倒すより確実に、かつ手っ取り早い方法だ。
「武器は一通り検査されているからな。この剣で勇者を斬ったところで、容疑者はお前。そしてその容疑者は冷たい土の中って寸法だ。」

「なるほど、下衆の考えそうなことだ……しかし、お前は一つ勘違いをしている」
「勘違い?馬鹿なことを。ハッタリをかましてもお前が死ぬのは変わらんよ!」
クアドは剣を振りかぶり突進する──その肘に、へニングは掌底をぶつける。
「なっ……!?」
「手が痺れるだろ?」
動きが止まったその腕に、へニングは一歩下がり回し蹴りを放つ。クアドの手から剣が離れ、遠くの地面に落ちた。
クアドの劣勢に手下の二人が慌てて物陰から飛び出してきた。
しかし、あまりに慌てていたせいか一人は石を踏んで派手に転んだ。盗品らしき金貨がその場に散らかる。
転ばなかった一人は粗末なナイフを手にしていたが、まともに刺せるようには見えなかった。
クアドはヘニングの注意が二人に向いた隙に剣を拾おうと走り出していた。
だが、へニングに軽くあしらわれたクアドに、いいように使われている程度の二人だ。
まず片割れが突き出してきたナイフの刺突をバックステップでかわし、同時に手刀で手下の目元を軽くなぞる。
さらに目が潰れてもがくその隙を逃さずナイフを奪い、髪を掴んで引き寄せてその喉を突いて殺した。

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