勇者の子孫 2
そして、一気に城を飛び出す。クアドは反応が遅れた。
バカにされたと感じたクアドと手下二人はヘニングを追うが、足が遅いので少しずつ距離が開いていく。
「ああ、あんなところ来るんじゃなかった。勇者とは言えないならず者ばっかりだ」
そのわかりやすい代表がクアドだ。それがヘニングを探してくる。
他の者は国王に媚びたりしていて、城を飛び出したヘニング達に気づいていない。
城門がどんどん遠ざかっていく。クアド達三人は追いかけているうちに冷めたのか、城門の辺りで座って休んでいる。
「これからどうするかな…城に戻るわけにもいかないし」
今さら戻ったところで嫌なものを見せられるだけだろう、それに門の所にはクアドが座っている。今戻れば確実に彼等に見つかる。
迂回すればどうにかばれないかもしれないがそこまでする必要性を感じなかった。
「それにしても国王は格好よかったなぁ。あれこそ勇者という感じがする」
今度は良い機会にあってみたいものだとヘニングは思う。
実際に国王は戦士としての才能があった。
数年前までは一戦士として魔物を討伐していた。紆余曲折あって若干強制的に国王の地位になってからはそうそう単独行動もできなくなったが。
あれほどまでに強い男が国王の立場に縛られて動けないのは惜しい。
ヘニングはその国のやり方が嫌だった。
「偉い奴等は何もわかってないんだなぁ…」
ヘニングは愛用の剣を無意識に探す、しかしあるはずの所に無い。城に置いてきたか、落としたらしい。
「まずいな、高かったのに」