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ある天才の発明品
官能リレー小説 - 時代物

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ある天才の発明品 2

九平の言葉を聞きながら、作兵衛は考え込んでいた。
(この設計図だけでも国がどうにかなる代物だっていうのに、あまりにも扱いが適当すぎる。もし、俺達が誰かに設計図を売ったりしたらどうするつもりなんだ?)
九平も同じことを思っているらしい。当然である。
この設計図の価値を知っている人間なら誰しも思うことなのだから。
「そんなものを持っていていいのか?下手すりゃ殺されちまうぞ。俺はもう
関わり合いになりたくないね」
作兵衛はそう言うと、荷を担ぎ直して歩き出した。
「さっさと終わらせよう、こんな仕事。早く帰って一杯やりたいぜ」
「ああ、そうだな」
九平は苦笑しながら後に続いた。
だが、二人は気づいていなかった。二人の後をつけている者がいることを…。
2人は山道を進んでいた。木々に覆われていて薄暗い上に足場が悪いため、歩くだけで体力を奪われる。
「…ったく、どこまで歩かせるつもりだ」
作兵衛が愚痴をこぼす。
「確かにおかしいな。地図によればそろそろ目的地に着くはずなんだが」
「地図が間違っているんじゃないのか?」
「そうかもな。この地図の指示通りに進めば更に森の奥に入ってしまう。引き返すしか無さそうだ」
「それならこの荷物と設計図はどうしたらいいんだ?地図が間違っているのなら依頼人に渡すこともできないぞ」
当然だがこの時代に電話は無い。この様な事が起こった場合、連絡を取る手段が無いのだ。
「仕方がない。今日はここで野宿するしかないだろう」
「勘弁してくれよ。こんな所で寝たら死んじまいかねないぜ」
「文句を言うな。お前は荷物を見張っていろ。俺は薪を集めてくる」
そう言って九平はその場を離れた。本当ならもうこの仕事は終わっている筈だったのだが、思わぬ事態になってしまったものだ。
(一応はまとまった金も手に入ったし、酒でも飲んでゆっくりしようと思っていたのに)
作兵衛は心の中でぼやいた。
しばらく経って、九平が戻ってきた。
その手には大量の薪を持っている。これだけあれば一晩過ごすのに十分だろう。
早速、九平が薪に火をつける。
「なあ、九平。依頼人のことを聞いてもいいか?」
作兵衛が尋ねた。ここまできたら聞いておくべきだろうという判断である。
「構わないが、俺もあまり知らないぞ」
前置きをしてから九平は話し始めた。

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