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ある天才の発明品
官能リレー小説 - 時代物

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ある天才の発明品 1

曲がりくねった、長い坂の続く道。
その坂道を、二人の男が歩いていた。
一人は、黒い着物を着た男だった。もう一人の紺色の着物を着ている男は、大きな風呂敷包みを背負っている。
「…おいっ!この荷物、どうにかならんのか!」
ついに紺色の着物の男が音を上げた。
「我慢してくれ、作兵衛。この荷物はお前じゃないと運べないんだ」
紺色の着物の男、三反田九平が言った。
「そうは言うけどよぉ…」
言いかけて、作兵衛は諦めた。二人とも足を止めるわけにはいかないのだ。この荷物を捨てていくわけにもいかなかった。
二人は急ぎ足で先に進む。
やがて坂を登りきり、平坦な道になったところで、ようやく二人は足を止めた。
「ここまで来れば大丈夫だろう」
九平が言った。
「まったくだぜ…こんな変なもの背負わされちゃあ、かなわん」
そう言って作兵衛は背負っていたものを下ろした。それは巨大な木箱であった。大きさは大人の背丈ほどもある。
「しかし何なんだ?こいつぁ」
作兵衛は尋ねた。
「俺も見たことがない代物だよ…」
「そんなわけのわからない物を俺は運ばされたのか?」
「まあ待てって。まずはこれを見てくれ」
九平は懐から一冊の書を取り出した。表紙に『無題』と書かれている書だ。
「これがどうかしたか?」
「中身を読んでみろ」
言われて作兵衛は書を開いた。そして読み進めてゆくうちに顔色が変わる。
「おい…これまさか…!」
描かれていた物、それは設計図であった。それも大砲の。
「そうだ。こいつは大砲の設計図だ。しかもただの大砲じゃねぇぞ。南蛮船用の大口径砲さ」
「その設計図はこの荷物と何か関係があるのか?」
「わからない、そもそも荷物が何なのかわからないからな。ただ一つ言えることは、この荷物は俺たちの手に余る代物だってことだ」

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