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石像の秘めた謎
官能リレー小説 - 時代物

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石像の秘めた謎 2

まるで生きているような出来映えではないか。しかもそれは、俺がこれまでに見たどの彫像よりも力強く、生き生きとしていた。
それなのにこの男は、自分の仕事がまだ完成していないという。
不思議だったが、深く追求する気はなかった。芸術家というのは得てしてそんなものかも知れない。
「ところであんたは何者だい?」
今度は逆に質問された。
俺は咄嗟に嘘をついた。
「旅の行商人だよ」
「へぇー。行商人ねぇ…。しかしそれにしちゃあ身のこなしが普通じゃないようだが」
図星だったので苦笑いを浮かべるしかなかった。やはり芸術家の観察眼は侮れない。
「まあいいか。別に怪しい奴でもなさそうだしな。だがあまりじろじろ見るんじゃないぞ。気が散っちまってしょうがないからな」
「分かったよ。邪魔にならないように離れて見ているから心配しないでくれ」
そう答えると、俺は男の仕事ぶりを見届けようとその場に腰を下ろした。
男は再び作業に戻った。
無言のまま、ただひたすら手を動かしている。
一体どれくらいの時間が流れたことだろう。
ふと気づくと、いつの間にか辺りに夕闇が迫ってきていた。
俺は立ち上がり、大きく伸びをして言った。
「俺に何か出来ることがあったら何でも云ってくれ。微力ながら協力させてもらうよ」
男は振り返ると、一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに笑みを浮かべて答えた。
「そりゃ有り難い。そしたら早速頼みたいことがあるんだがいいかな?」
「何なりと云ってくれ」
すると男は少し躊躇った後、思い切った様子で口を開いた。
「まずは俺と同じように褌だけになってくれ、話はそれからだ」
男は真剣な目つきでそう告げた。
俺は迷うことなく即座に承諾した。
この男なら信用できる。何故か直感的にそう思ったからだ。
返事をすると同時に、素早く着衣を脱ぎ捨てて褌だけの姿になった。
「これでいいか?」
男はじっくりと全身を観察した後、「うん、大丈夫だ」と答えた。
「じゃあこっちに来てくれるか?」
男が促すままに、俺は仏像の前に立った。
近くから見ると益々迫力があった。
獅子のような顔立ちといい、盛り上がった筋肉に覆われた肉体美といい、股間の一物に至るまで実に素晴らしい。
「さっきも云ったが、こいつはまだまだ未完成なんだ。そこで、あんたが代わりに彫ってくれないか?」
「えっ?」
思わず聞き返した。
「おい、冗談だろう?」
いくらなんでもそれは無理な注文である。素人目に見ても、これはかなりの難事であることが分かるのだ。
「いや、本気だよ。あんたに彫って欲しいんだ」
男の目は真っ直ぐだった。

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