そう答えるのが精一杯だった。激しい呼吸音だけが狭い空間を満たす。
「それじゃあ約束通り、あんたに報酬をやろう」
男はそう告げると、床の脇に置いてあった汚れた箱を開ける。小判が並んでいた。
「五百両だ」
俺は息を呑んだ。まさか本当に金があり、しかもそれをくれるとは思わなかったからだ。
だが、今となってはそんなことはどうでもいい。
「ありがたいが…この金はあんたが使うべきだと思う」
俺がそう言うと、男は一瞬キョトンとした顔になったが、すぐに破顔して言った。
「ははっ!あんたも言うねぇ!」
そしてお互いに裸のままがっしりと抱き合った。汗と男の臭いが混じり合った何とも言えない匂いがした。
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