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女郎蜘蛛
官能リレー小説 - 時代物

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女郎蜘蛛 2

直七は早速、漁師達の集まりを見つけた。
直七は彼等が何を話しているか聞くために、少しずつ近づいていく。
本来ならためらわずに飛び込み、漁師達を問答無用で片っ端から斬り殺していたはずだった。事前に隠密が調査しているのだからわざわざ盗み聞きをして探る必要はない。
だが、この日は違った。漁師達がいかにも無害な存在に見えたからだろうか?
直七が様子を見ていると、褌のみを身につけた少年がぞろぞろと集まってきた。漁師の子供というわけではないらしく、彼等の相談が中断をする。
「なんだぁ?この子供は」
「今は大事な話をしてるんだよ」
「新種の魚を養殖する話でしょう?」
「なぜそれを知ってるんだ…誰か話したか」
「いや、こんな子供見たことすらねえよ」
「俺も知らねえ」
漁師達が不穏な空気になってきていた。
少年達がわーっと逃げる。蜘蛛の子を散らすようで、妙に素早い。
直七はその逃げる動きに慣れたものを感じた。普通の子供らしくない。
漁師達はそれを追う。
別に悪いことをしていたわけではないが、養殖の話を見知らぬ子供達が知っているというのは不快でしかない。彼等は冷静さを失いつつあった。
次の瞬間、漁師の男達の姿が消えた。少年の姿も無くなっていた。
「あいつら…一体どこへ?」
直七は追おうとして止めた。逞しい漁師の男達を一瞬で連れ去ってしまうような敵がどこかに隠れているかもしれないと考えたからだ。

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