PiPi's World 投稿小説

インキュバス〜伊賀淫法帖〜
官能リレー小説 - 時代物

の最初へ
 0
 2
の最後へ

インキュバス〜伊賀淫法帖〜 2

「誰ッ!?」
そろそろ砦に帰ろうかと思い出した頃。
人の気配を感じた朧は、敵の兵士かも知れないと背中から刀を抜きながら、気配が感じられた暗がりに向かって誰何の声を放つ。
「久しぶりだな朧」
「あ、貴方は・・・」
木々の隙間から差し込む月明かりが、暗がりに居た人影を照らし出す。
彼女の手から刀が抜け落ち、瞳に涙を浮かべながら朧は男の胸へと駆け寄って行く。
「半蔵様ッ!!」
瞳に涙を浮かべながら駆け寄ってくる彼女を抱き止めようとするかのように、半蔵は笑顔を浮かべたまま朧に向かって手を伸ばす。
その指先が彼女の首筋に触れた瞬間、朧はチクッとした痛みと共に目の前が暗くなるのを感じた。
「は、半蔵様・・・?」
意識が闇に飲まれる寸前、朧は愛する男の瞳の中に優しさが無いという事に初めて気が付いた。
彼の瞳に有るのは罠に掛かった獲物に向ける冷たい視線だけだった。
「フフフ・・・」
半蔵は気を失った朧の身体を抱かえると、微かな笑い声を残して夜の闇へと消えていった。



「んん・・・ここは?」
目を覚ますと朧は見知らぬ部屋に寝かされていた。
「ようやく気が付いたか・・・」
「っ!?半蔵様!?」
蝋燭の明かりを頼りに目を凝らすと、そこには森で再会した愛しい人の姿があった。
「久しいな朧。元気にしていたか?」
「は、半蔵様・・・これはどういう事ですか!?」
「フフフ・・・無論我が愛する婚約者殿を迎えに来たに決まっているではないか」
半蔵の言葉に一瞬胸の鼓動が高鳴るも、彼が向ける冷たい視線に朧は冷静さを取り戻す。
「嘘ですね・・・半蔵様は私を愛してなどおりません。いったい何が目的なのですか?」
彼が自分を愛していないと断定するのは、朧にとって悲しいことだったが、長年忍者として訓練された朧は、恋する乙女とは別の部分で半蔵の邪心を見抜く。
「ほほう・・・どうやら身体だけではなく、忍びとしても成長しているようだな」
朧の言葉に半蔵は笑みを強くする。
「では、正直に言おう。何簡単な事だ。私は今、幕府に仕えていてな。上様が六角高頼の首を御所望なので、それを得るために朧殿にご協力いただこうと思ったまでのこと・・・」
「なっ!何を馬鹿な!我が身可愛さに私が裏切るとお思いか!!」
半蔵の言葉に朧は目尻を吊り上げ怒りを表す。
だが、彼女の怒りの視線も、半蔵にとっては可愛らしい幼稚な反抗に過ぎない。
「フフフ・・・立派な心がけだが、何時まで続くかな?」
半蔵は笑みを浮かべながら布団の上の朧の下へと歩み寄っていく。
次の瞬間、朧の可憐な唇は、半蔵の唇によって荒々しく塞がれた。
「んんぅー!?」
突然の口づけに、朧は振り払う事も忘れ、目を見開いたまま硬直する。
「んぐ、ん・・・んん・・・」
ショックの余り抵抗すら忘れ、竦み上がる少女の身体を抱き寄せ、半蔵は仄かに熱を帯びた乙女の唇を心ゆくまで吸い続ける。
「あ、ああ・・・」
強引な接吻を終え、二人の唇が離れた後も、朧は半蔵を突き飛ばそうとすることもなく、その場で呆然としていた。
「ひ、酷い・・・」
初めての口づけを奪われた少女の唇から、消え入りそうな呟きが漏れる。
悲しげに俯き、肩を震わせるその姿からは、先ほどまでの気丈さは消え失せていた。
「酷い、か。だが、仕方ないだろう?長年想い続けていた女性を目の前にすれば、口付けの一つや二つしたくなるさ」
「う、嘘です!そんなこと・・・」
(そんなはずはない。あってはならない。この男は嘘をついている。私を捨てた男の言葉なんて信じる必要は無い)
だが、理性とは裏腹に、朧は心の奥底でその言葉に歓喜している自分がいる事を自覚していた。
「そ、そんな嘘で私の心を折ろうとしても無駄です!」
「フっ、信じる信じないはお前の勝手だ。どのみち、お前はすぐに俺に全てを捧げるようになるのだからな」
「なっ!」
反論しようとする朧の言葉を封じるように、半蔵は再び彼女の唇を塞ぐ。
「んぐっ!んんぅ、むぅぅっ!」
朧が抵抗するよりも早く、半蔵の舌は唇を割り開いて口内に侵入し、少女の舌を絡め取る。

SNSでこの小説を紹介

時代物の他のリレー小説

こちらから小説を探す