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大正★陰陽伝
官能リレー小説 - 時代物

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大正★陰陽伝 4

「まあ……素敵…」
「うわぁ………」
春美は、晴也の姿を見てうっとりと微笑み、京子は……
顔を真っ赤に染めて、のぼせかけたような瞳で晴也を見ていた。
京子の様子を見て、春美は女の勘で京子に無意識に警戒心を抱いた。京子が晴也に惚れたのは明らかだったから。
「さあ、始めましょう!入ってください」
「は、そ、そうですね!お願いしますっ!」
晴也の声で、ようやく我に返った京子は、あたふたと彼に続いて部屋に入った。

晴也の部屋の中には、神社で使っていそうな札や、日本語でも、大陸の言葉でも欧州の言葉でもない文字で書かれた符があちこちに貼られ、合わせて20枚近くが一定の形で陣を敷くように配されていた。
恋心さめやらぬまま、京子は不思議に思って尋ねた。
「あの、これは?」
「まずは、これらの符を用いて京子さんの、その…性欲を異様に煽っている『何者か』を浮かび上がらせます。そして、正体を判じた上で調伏いたします。真ん中に座布団があるでしょう。そこにゆったりと座ってください。いささか時がかかりますので、無理に正座なさらずとも構いません。ただ、勝手にその場から動かないでください」
彼の言う通り、陣の真ん中には高級そうな、大き目な若草色の座布団が敷かれていた。
「これで…いいですか?」
期待と不安と恋心がないまぜになった、そんな顔で京子が晴也に聞く。
座布団の上で、京子はきちんと正座していた。
「途中で、多少姿勢は変えていただいても構いません。ただ、立ち上がったりその場を離れたりはしないでください。くれぐれもお願いします」
晴也の言葉に、京子はごくりと唾を飲み込み、頷いた。
「では、始めます。できるだけ心を平静にして、何が起きても自分をしっかり持っていてください。私が何とか致します」
「はい」
「痛みがあるかもしれませんが、耐えてください」
「はい」
緊張しつつ京子が答えると、晴也は祝詞めいた言葉を唱え始めた。
しばらくは何事も起きない。
だが、京子には一時間近くが過ぎたと感じられたあたりで、部屋の中の空気が揺れ始めた。
京子は、全身にひりひりするような、何かを剥がすような痛みを感じた。
「うっ…」
(これが、「性欲を異様に煽っている『何者か』」なのかしら…)
幸い、痛みはあまり強くない。
だが、彼女自身は内側から熱せられるような妙な感覚を覚えていた。
(この熱で、内側から剥がしている…?)
この「熱」と痛みに耐える間も、晴也の祝詞が続く。
すると…
「きゃああっ!!」
一瞬、べりっ!と何か剥がされるような痛みが起き、直後に痛みが消えた。

剥がされた「それ」が京子と晴也の間に立ちはだかる。
「ようやく、出てきましたね…」
「おのれ、陰陽師め…」

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