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爆乳☆陰陽伝
官能リレー小説 - 時代物

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爆乳☆陰陽伝 44


「…う…うぅ〜ん……ここは…?」
「あらぁ、やっと目が覚めたのねぇ…」
傍から女の声がしたので、そちらの方に目をやると、見知らぬ美女が枕元に座って微笑んでいた。
女の頭からは狐耳が生えている。
晴士は尋ねた。
「あ…貴女は…?」
「あぁ…私はサキ、あなたと同じ狐よぉ」
サキは晴士の方にお尻を向けて自分の尻尾を見せて言う。
「ほらぁ、私の尻尾、二又に分かれてるでしょぉ?こういうのを“尾裂狐(おさき)”って言うのぉ…“オサキ”だから“サキ”…面白いでしょぉ〜?ウフフフフフ…♪」
「はあ…」
晴士は何が面白いのかは良く解らなかった。
(…あれ?てゆうか今この人、僕の事を狐って…?)
そんな疑問が一瞬だけ頭を過ぎるが、直後、もっと重大な事を思い出す。
「そうだ…コン!!カイ!!」
淫妖に喰われた二人だ。
晴士は慌てて体を起こそうとするが、その瞬間、激しい痛みが彼の全身を襲った。
「くぅ…っ!!?」
「あらあらぁ、まだ動いちゃダメよぉ。あなた丸一日以上も眠ってたんだからぁ…」
「そ…そんなに…!?…でも僕、行かなきゃならないんです…僕の式神達を取り返さなきゃ…!」
「安心なさい、あの子達なら無事よぉ」
「えぇ…っ!?ほ…本当ですかぁ!?」
「ええ、私のご主人様が助けてくれたからねぇ。あなた、ご主人様に会ったら、ちゃぁんとお礼言わなきゃダメよぉ?」
トロくさい喋り方が微妙に気になるが、とりあえず今の晴士は未だ見ぬ彼女の“ご主人様”への感謝の念でいっぱいだった。
「は…はい!本当に何とお礼を言って良いか…それで、あなたのご主人様っていうのは…?」
「賀茂光征様よぉ」
「賀茂…光征様…!?」
晴士は光征と相まみえた時の記憶は二度とも無かったが、その名には聞き覚えがあった。
(賀茂光征と言えば、賀茂一族の中でも当代きっての大陰陽師と呼ばれていて…確か藤原の右大臣お抱えの陰陽師だよな…そんな人が助けてくれたなんて…!)
晴士にとっての光征は、陰陽の道を志す者として、目標としている人物の一人であった。

尾裂狐のサキは「光征様に知らせて来るわぁ」と言って部屋を出て行ったが、程なくして光征を伴って戻って来た。
「!…あ、あなたが賀茂光征様でいらっしゃいますか?」
体を起こして挨拶しようとする晴士を光征は「あぁ、そのままで結構…」と制して言った。
「いかにも私が賀茂光征だ。“はじめまして”安倍晴士君、体の方はいかがかな?」
「はい、お陰様で何とか…そ、それより光征様!僕の式神達は…!?」
「……」
「光征様…!?」
「……晴士君…君は…彼女達に敬意を払うべきだ…」
「…っ!!?」
それは一体どういう意味だ!!?
晴士は固まる。
サキが溜め息混じりに言った。
「光征様ぁ…あまり病み上がりの人間をからかうのは止めた方がぁ…」
「確かに……うむ、安心したまえ。彼女達は無事だ。君同様この屋敷で保護している」
「な、何だ…良かったぁ…」
晴士はホッと一息つき、そして言った。
「二人の所へ案内してください!」
「良いだろう…サキ、支えてあげなさい」
「はぁい♪」

サキに肩を貸してもらいながら光征の後に続く晴士…。
(あれ?庭に来ちゃったぞ…?)
彼が不思議に思っていると、光征は不意に立ち止まり、近くにあった池の中を指差して言った。
「ほれ、そこだ」
「え…っ!!!?」
晴士は驚いた。
透明な水の底に二人の裸の娘達が沈んでいたからだ。
それは彼の式神…コンとカイに間違い無かった。
二人は目を閉じ、まるで眠っているようだ。
「光征様…っ!?」
「安心したまえ。ああ見えて彼女達は今、治療中なのだ…」
光征は池の畔にしゃがみ込み、その水を手ですくって見せる。
「…この池の水は霊的な力で満ちている。ひと月もああしていれば元に戻るだろう」
「ひ、ひと月!?いや、そんなに長い間ここにお世話になる訳にも…」
「なに、遠慮にせず滞在していくが良い。君自身、満身創痍なのだから…。客人として持てなそう。陰陽寮と君の家の方には私から話をしておくから安心したまえ」
「はあ…ならばお言葉に甘えて…」
晴士は光征の好意に甘える事にした。


精神を安定させて陰陽師としての精神を磨き安定させる為、瞑想していた。
心の反応を抜け、息を吸う、息を吐く、空気が鼻を流れる感覚、肺を動かす為に動き、伸びては縮む腹の感覚。
体の動きや五感に神経を集中し、あれこれ考えたり思ったりする心の反応から抜ける修練。
集中した精神は少しずつ心があれこれと考えてしまう淀みから抜け、安定を積み上げる。
彼にとっては幼き日から続けてきた修行だ。
誰もいない場所で一人瞑想していると陰湿な嫌悪感が心から抜けていくので、少しずつだが落ち着ける。
自分の心の中、感情をただ客観的に見つめ、理解すると心のざわめきが消えるのだ。

「晴士く〜ん」
むにゅり。
瞑想中の背中に暖かく柔らかいものが押し付けられる。
「サキさんっ」
「ねえねえ、どう?」
「どうって?」
「私と…して欲しいなって」

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