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爆乳☆陰陽伝
官能リレー小説 - 時代物

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爆乳☆陰陽伝 30

「―――、ッ!?」
尊敬していた人物からの非情な決断に、保利は何とか誤解を解こうと何かを言いかける。
その次の瞬間、彼女の前に光征の放った札が飛来。
反射的にそれをかわすも、札は彼女の着物をサラシごと切り裂き、見事な爆乳を露出させた。
「・・・っ!?や、保利、お主・・・!?」
それを見た帝がひどく驚いていたようだが、そんなことはどうでもよかった。
従兄である光征があやかしとして自分を殺そうとしている。
その衝撃の大きさに、彼女の思考は完全に停止してしまっていた。
どうしていいのかわからない、などという話ではない。
頭が真っ白になり、涙があふれて止まらなかった。
胸を締め付けるような思いが、悲しみだと理解することすらできなかった。
絶望に打ちひしがれる保利。しかし悪いことには悪いことが重なる。
彼女にはさらなる非情なる現実が待っていた。
それはすなわち――――。
「まったくいつの時代になっても人間は変わらぬの。
 自分の価値観でばかり物事を測り、相手の価値観を知ろうとすら思わぬ。
 少しは身の程のものと言うものを知れ・・・ニンゲン」
沈黙を守っていた大妖狐、葛葉姫が静かな怒りをたたえ、光征に牙を向けたのだった。
恐ろしいまでの殺気を放つ葛葉に対し、光征は影から出た百足の大群と呪札の乱打という全力でもって攻撃した。
頭の中までキツネになった晴士はともかく、コン、カイ、保利はすぐに理解した。
これは自分たちではどうすることもできない攻撃だと。光征が圧倒的な強者であると。
そんなすさまじい攻撃を前に、葛葉はしたことと言えば。
よける気配などみじんも見せず、ただ手のひらに生み出した小さな炎にフッと息を吹きかけただけ。
チロチロと光征の攻撃を受け止めようと飛んでいく小さな炎。
あれがあの攻撃を何とかできるだなんて、とても思えない。
触れた瞬間、木っ端のごとく散らされるだけ・・・そう、なるはずだった。
「疾く(とく)・・・去ね(いね)」
だが結果は違った。小さな炎が百足と札の嵐に触れた瞬間。
小さな炎は一気に大きく燃え広がり、殺意の嵐をいともたやすく飲み込んだ。
そしてそのまま、主人を害そうとした不埒な術者の元へと伸び・・・業火は光征の全身を包み込んだ。
「――――――!?――――――!!」
炎に包まれた光征が何かを言っている。
だがそれは声として形を成すことはない。
常識はずれの火力によって体内の空気ごとノドを焼かれ、声を出せないのだ。
みなが絶句する中、光征だったモノは人の形を失い・・・灰も残さず消えた。
彼がいたはずの場所には焼け跡すら残っていなかった。葛葉が余計なものまで燃やさぬよう、炎を操作したのだ。
彼女が炎を放ってから今に至るまで、わずか1分にも満たない短い時間。
その間に保利たちが一瞬で格上と理解させられた陰陽師がこの世から消滅・・・否、焼滅した。
信じられないことの連続にみなが固まる中。
いつのまにか地面に降りてきた葛葉は、黒狐と化した晴士を抱きしめ。
そのふかふかもこもこの感触を堪能していた。
「すまぬのう、晴士。おまえのエサになったかもしれぬ陰陽師を消してしもうた。
 まあ今の時代、代わりなどいくらでもあるし、大した問題にもならぬか?
 ほほっ、これ晴士やめよ、頬を舐めるでないっ。くすぐったいではないか♪」
何事もなかったかのように黒狐モードの晴士と戯れる大妖狐、葛葉。
つい先ほど無慈悲に人間1人を焼滅させたのと同じ人物とは思えないその変わりように、みなはこれだけを理解した。
本当の強者とは、決して自分の物差しで測ることのできない次元の違う存在なのだということを。

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