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爆乳☆陰陽伝
官能リレー小説 - 時代物

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爆乳☆陰陽伝 3


その瞬間、葛葉の顔から笑みが消え、ものすごい殺意が放たれる。
あまりのプレッシャーに、ちょっとでも気を緩めれば意識を・・・いや命さえも失ってしまいそうだ。
生まれたての牛馬のように足を震わせながら晴士は思う。
怖い。恐ろしい。なぜ自分はあのようなことを言ってしまったのか。
嫌だ。死にたくない。この場で土下座して命乞いをしてしまいたい。
恐怖と後悔の念で押しつぶされそうになりながら、それでも晴士は手にした札を引こうとはしなかった。
彼我の力量がわからないわけではない。いくら零能者だからとは言え、こんな圧倒的な力の差を見せられて、わからないわけではない。
おそらく自分は間違いなく目の前の妖(アヤカシ)に殺されることだろう。
それが一瞬のことか、延々となぶられた後かはわからないが。
だがそれでいい。晴士はそう思った。自分は落ちこぼれでも安部一族なのだ。
人を食らう妖(アヤカシ)の存在を許すわけにはいかない。
たとえそれが自分の先祖で、どうあがいてもかなわない相手であっても。
なけなしの勇気を振り絞って、必死に自分を奮い立たせる晴士。
いったいどれくらいそうしていただろうか。わずか数分にも、何時間にも思える時間の末、葛葉姫は急に殺意を消した。
そして再び、無邪気な子供のような笑顔を浮かべてこう言った。

「ふふふ・・・おもしろい。お主はほんにおもしろいのぅ。
 力の差を知りながら、それでも誘惑にも脅迫にも屈さぬとは。
 実にそそる男じゃのう、晴士よ。ますます妾のモノにしてみたくなった」

殺気を収めておきながら、なおも晴士を食らいたいとのたまう葛葉姫。
彼女の言わんとしていること、その意図が読めず、晴士はただただあっけにとられる。

「この場でお主を殺すことは簡単じゃが・・・それではお主の血肉をモノにできても、心までは支配できぬ。
 よかろう。この場は引いて、また出直すことにしよう」
「・・・っ、ま、待て!」

葛葉姫の言葉に思わず安堵のため息が出てしまうも、すぐに我に返って彼女を引き留めようとする晴士。
安倍一族として、人を食らう凶悪な妖(アヤカシ)を見逃すわけにはいかなかったのだ。

「クスクス・・・安心せい。またすぐに会いに来る。
 それまでお主には妾の手のひらの上でせいぜい踊ってもらうがな?」
「ど、どういうことだ!?」
「何、大したことではない。妾に恩義を感じるよう、ひとつ手助けしてやるまでのことよ」

葛葉姫はそう言って手のひらをかざすと。虚空から突然青白い炎が燃え上がる。狐火だ。
主人の指示で手のひらから離れた狐火は、晴士の前まで移動すると。
ポンと弾けて、一糸まとわぬ美しい少女へと姿を変えた。
彼女は頭からのぞくキツネの耳や肉付きのいい尻から生えた豊かなシッポを動かしながら、何の光も映さないうつろな瞳で、ぼんやりと晴士を見ている。

「その娘、お主にくれてやる。力はこの葛葉と比べるべくもないが、それでも何かの役には立とう。
 煮るなり焼くなり好きにするがいい」
「なっ・・・!?」

驚く晴士をよそに、葛葉姫の姿が消えていく。
まるでその存在が幻であったかのように、周囲の風景に溶け込んでいく。

「ではまた会おう。その時には妾にふさわしい、もっといい男に育っておれよ・・・?」

そう言い残して晴士の先祖を名乗る妖女、葛葉姫は姿を消した。
残された晴士は、手付と称されたキツネ娘を前に途方に暮れるほかなかったのであった。

※※※※

式神になる代償に先祖を食らったという妖狐、葛葉姫。
そしてその誘いを断った晴士に、再会の手付として渡されたキツネ娘。
それを前に晴士はどうするべきかわからず、途方に暮れていた。
葛葉姫の狐火から出てきた以上、この娘は間違いなく分身か、その眷属。
ならば即座に封滅するのが落ちこぼれとは言え、陰陽師である自分のなすべきことなのだが・・・。
いざ人の形をしたものを前にすると、どうにも決心がつかなかった。
葛葉姫のときはまだよかった。
圧倒的な力量を前にして、それでもやらなければならないと義憤に燃えていたから。
でも彼女は違う。彼女からは葛葉姫のような、隠し切れないプレッシャーみたいなものを微塵も感じない。
それだけの実力者という可能性も捨てきれないが、そんな傑物が全裸で自分の前で無防備に眠っていられるものだろうか?

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