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爆乳☆陰陽伝
官能リレー小説 - 時代物

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爆乳☆陰陽伝 14

「ご、ご主人様?大丈夫コンか?」
再び化け蟹に向き直ったところで、コンが目を回しながら主人の身を案じる。
愛すべき主人に暴力を振るわれ、気が気でないのだろう。
晴士は大丈夫とコンを落ち着かせながら、これからの行動を考える。
今取るべき道は2つ。速攻で化け蟹を仕留めて被害者を助けるか。先に被害者を助けてから化け蟹を仕留めるか。
理想は前者だが、カニばかりにとらわれていると泡に足をすくわれる恐れがある。
何より泡につかまった人たちがいつまで無事でいられるかがわからない。
後者は確実な安全策だが・・・せっかく捕まえたエサを横取りされたカニが黙っているとは思えない。
どっちも一長一短、リスクのある選択だ。
晴士は少しだけ迷ったものの。すぐに選択を決めて駆け出した。
「あ、待てっ!貴様、どこに行くっ!?」
背後で保利が叫ぶが、もう晴士の耳には届かない。彼の心はもうすでに戦場に向いていたのだから。
「コン!まずは人質優先だ!まずはアイツの出す泡を片っ端から消していくぞっ!」
「コンっ!・・・でもご主人様?さっきみたいな女の子はもういないコンからね?」
「う、うるさいっ。そんなこと考えてないで、一緒に手伝ってくれっ!」
ちょっと出鼻をくじかれながらも懐から呪符を出す晴士。
一方、取り残された保利は化け蟹に向かう晴士の雄姿に強い対抗心を燃やしていた。
自分よりはるかに劣る零能者の晴士が先陣を切って戦おうとしている。
なのに自分はヤツに助けられたまま、このまま逃げていいものか。
否。断じて否。陰陽師の名家、加茂家の名を世間に知らしめるためにも自分の誇りにかけても、ここで引くなどあってはならない。
しかし化け蟹の泡のせいか、全身に軽い痺れが走ってうまく力が入らない。
ならばどうするべきか。保利は持てる限りの知恵を絞って自分にできることを考え始めた。
「コンっ!行くぞっ!」
「コンっ!」
晴士は懐から取り出した呪符を取り出すと、狐火を放つコンと一緒に泡へ投げつける。
空中を飛ぶ紙切れは突然炎を発し、次々と泡を破壊していく。
練習のときでさえめったに成功しなかった、下級呪術『狐火』の術だ。
それがこのぶっつけ本番でうまくいくとは・・・いかに落ちこぼれであろうと、その血筋は確かなものだったのかもしれない。
しかしそれは目の前の化け蟹の怒りを買うこととなる。
せっかく捕まえたエサを横取りされた化け蟹はその怒りを表すかのように2本のハサミを振り回すと。
腹の部分の殻が開き、中から大量の白い玉が放出された。
大量、と言っても泡と比べればその数はかなり少ない。腹の殻もすぐに閉じてしまった。
また懲りずに泡の補充かと思えばさにあらず。

パンッ!パンッ、パンッ!

出てきた白い玉は泡などではなかった。空中を漂う白い玉が突然弾けたかと思うと、中から赤ん坊くらいのサイズのカニが飛び出してきたのだ!
白い玉の正体は泡ではなく、化け蟹の卵だったのだ!
火の玉の雨をかいくぐり、晴士たちに襲いかかる子ガニたち。
晴士たちは泡の対処に忙しく、子カニの相手までは手が回らない。

(やられ・・・る!?)
「ご主人様っ!?」

晴士に小さなハサミが当たろうとした・・・その時!
晴士たちの背後からいくつもの雷光が走り、子ガニたちをうまそうな焼きガニに変えてしまった。
一体何が?そう思って雷光の飛んできた方向に視線を向けると。
そこには保利が乳を隠しながら、数枚の呪符を放とうとしている姿があった。
どうやら彼女が晴士の危機を救ってくれたらしい・・・のだが。
「おい落ちこぼれ!勘違いするなよ!?今のはおまえを助けたわけじゃないっ!
 たまたまおまえが攻撃の軌道にいただけだからなっ!?
 そうとも、名家加茂家が、安倍家の落ちこぼれなんぞ助けるわけがないんだからっ!」
何やら言い訳がましいことを並べ立てて攻撃を繰り出す保利。
しかも狐火よりランクの高い『雷光』の術を使うあたり、不器用と言うか何と言うか・・・。
ツッコミどころはいろいろあるが、晴士にとって彼女の援護は何よりも心強い。
晴士は苦笑を浮かべると、泡や卵を破壊しながらコンと一緒に化け蟹の元へと駆け出した。
カニも負けじと泡や卵を放ってくるものの。
連射できないうえに出せる数が決まっているのか、一点突破を仕掛ける晴士たちを止められない。
そしてついに1人と1匹が泡と卵の壁を突破。苦しまぐれのハサミをかわし・・・狐火の術を至近距離でたたきつけた。

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