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爆乳☆陰陽伝
官能リレー小説 - 時代物

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爆乳☆陰陽伝 13


 ☆ ☆ ☆

賀茂保利(かものやすとし)…晴士と同い年で、安倍氏と並ぶ陰陽師の大家・賀茂氏の跡取りである。
ちなみに安倍晴明のライバル的存在であった賀茂光栄(かものみつよし)の曾孫だったりもする。
晴士とはお互い三代目…これは意識するなと言う方が無理であり、実際お互い意識し合っていた。
だがこの保利、晴士とは真逆で、陰陽師としての才覚は齢十五にして既に“一流”、“天才”と呼ばれる域に達しており、おまけに“天は二物を与える”というのか、少女と見紛うばかりの見目麗しい美少年であった。

(…あれが安倍の“零能者”か…霊力は生まれ持った能力…努力でどうにかなる物ではない…哀れなものだな…)
それが試験会場に姿を現した晴士を見た時に保利が抱いた感想だった。
完全見下しモード全開である。
保利には野望があった。
(…そもそも安倍など元は我が先祖の弟子に過ぎぬ家柄…それがいつの間にか“安賀両家”などと言われ我が賀茂氏と並び立つ存在に…だがそれも私の代で終わりだ!天に日は二つも要らぬ!)

…その保利も今や化け蟹の吹く泡の中をフワフワと漂っていた。
「うぅ…(こ…これはいかなる事だ…体に力が入らん…)」
着物は蟹の泡に触れて溶け、肌が露出していく…。
どうやら人体にだけは効かない都合の良い酸のようだ。
泡の中はまるで母親の胎の中にいるように心地良く、抵抗する気力を奪われる…。

ついに大蟹の巨大な鋏(はさみ)が保利を泡ごと捉え、その口へと運んでいく…。
だが当の保利はそれを嫌だとも思わず、何の抵抗もしない。
(あぁ…喰われるのか…喰われるのだな…えへへ…どうでも良いやぁ…)
…その時だった。
「コオォォーーーンッ!!!!」
保利が蟹に喰われる正に寸前、勢い良く飛んで来た“何者か”が鋏の間から保利の身をかっさらった。
「フゥ〜…間一髪!とりあえず一人救出したコン!」
「コン!良くやったぞ!」
「……っ!?」
蟹の泡から解き放たれた保利は正気を取り戻す。
「あの、君。大丈夫だった!?」
「お…お前は…安倍晴士!!」
「…え?僕のこと知ってるの?」
キョトンとした顔で尋ねる晴士。
「当たり前だ!!同世代で安倍晴明の直系…知らぬはずがあるものか!!」
「えぇ〜!?な…なんか照れるなぁ…」
「ぐぬうぅ…(何なんだコイツは!?調子が狂う!)」
「…ところで、君は…?」
「私を知らんのか…私は賀茂保利だ!!」
「えぇぇっ!!?じゃ…じゃあ君が賀茂さん家の保利くん!?」
「や…“保利くん”て…近所に住んでる友達みたいな呼び方するなぁっ!!!」
そう勢い良くツッコんだ時、力が入ったためか、保利の胸元から“バリッ!!”と布の裂ける音がした。
「あ…」
「あ…」
「…コン?」
その時、晴士とコンは見た。
目の前の保利のボロボロの着物の胸元がはだけ、ポロリとこぼれ落ちた“それ”…どう見ても女の乳房(それもかなり大きめ)を…。
どうやら胸にサラシを巻いて膨らみを隠していたようだが、それが蟹の酸で弱って破れたらしい。
「う…うわあぁぁぁっ!!!?見るな!!!見るなあぁ!!!」
保利は真っ赤になって慌てて胸を隠し、その場にしゃがみこんだ。
「…き…君、女の子だったの…!? 保利くん…保利さん…?」
「私はこの展開ちょっと予想してたコン…」
「え!?予想できたの!?」
「な、何わけのわからんことを言っている!わわ、私が女であるはずがないだろう!?
 こ、これは・・・そう!大胸筋!陰陽師となるため、日々の修行で得た筋肉だ!」
明らかに無理のある説明・・・とゆーか、こんなぷるぷるとやわらかそうに揺れる筋肉など、世界中のどこを探しても絶対にない。
しかし明らかなウソであっても、保利はそれを貫き通さなければならなかった。
なぜなら女は陰陽師の素質があっても、なることはできなかったのである。
性別を偽り、陰陽師になろうなどお家取り潰しとなっても文句は言えない。むしろそれで済めば御の字だろう。
もっとも加茂家を陰陽師の頂点として知らしめたい保利に受け入れられようはずもないが。
衝撃の展開にぎゃあぎゃあ騒ぎ合う2人と1匹。
そんな3人に化け蟹の放ったいくつもの泡が、ふわふわと音もなく忍び寄る。
それにいち早く反応したのは晴士の式神、コンだった。
「ご主人様っ!」
めずらしく語尾にコンをつけなかった彼女は、主人に危険を知らせると同時に狐火を放つ。
それに合わせて晴士は保利をお姫様抱っこで抱えてその場を離れる。
素早く移動した晴士の背後で狐火が燃え盛り、いくつかの泡がはじけて消える。
狐火1つで複数の泡を消したのは見事だが、それでも化け蟹の泡はまだまだ残っている。
コンもすぐに後退して晴士と安全地帯まで避難する。
「よし、これだけ離れればしばらく大丈夫だろう。ケガはない、保利さ・・・イテッ!?」
「い、いつまで私を抱えているつもりだ、この無礼者!
 私は由緒正しい加茂家の血に連なるものだぞ!?この程度のこと、何でもないわっ!?」
食われる寸前であったを棚に上げ、晴士から逃げるように離れる保利。
しかししっかり胸を押さえていたり顔を赤くしていたりで、言うほど迫力が伝わってこない。
それどころか何か微笑ましいものを感じてしまうくらいだ。
これくらい元気なら、ここから避難するくらいはできるだろう。

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