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爆乳☆陰陽伝
官能リレー小説 - 時代物

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爆乳☆陰陽伝 11


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ここで時間を少しさかのぼる。
とある山の中腹、そこに流れる滝へと足を運んでいた葛葉は、不意に月の輝く満天の星空を見上げた。
何かを感じ取ったらしい妖艶なるキツネは、着物の袖で口元を隠し、うれしそうにコロコロと笑う。
彼女が喜ぶことなど1つしかない。安倍晴明の子孫、晴士のことだ。

(ほほ、どうやら我が分身はうまくあの男に取り入ったようじゃな。
 まだ才能に目覚めたばかりじゃが・・・なかなかに感じさせてくれよる。将来が楽しみじゃのう)

今はまだ目覚めたばかりの取るに足らない、弱い存在に過ぎない。
だがやがてその存在はより強く、大きいものとなり。
誰もが無視できないものとなるだろう。葛葉の手によって。
そのためにはエサがいる。生まれたばかりの幼く弱いヒナを、大きく肥え太らせるためのエサが。

彼女がここに来たのも、その一環。
本来ならば、霊的な力の集まる重要拠点の1つに彼女が入ることなど決して許されることではない。
しかし許されないこととできないことは全く違う。
その証拠に、彼女の通ってきた道には恍惚の表情を浮かべて兵士や陰陽師たちがゴロゴロ転がっていた。
命を奪うこともできたが、それでは事が多くなりすぎて計画に支障が出る恐れがある。
ゆえに葛葉はしばらく身動きを封じるだけで、それ以上のことはしなかった。
彼女は着物の袖から1匹の小さい沢カニを取り出すと、ゴミでも捨てるような仕草で滝に向かってポイと投げる。
小さなカニはあっという間に底に沈んで姿が見えなくなる。
全ての仕込みを終えた葛葉は妖艶に微笑むと、さっさとその場を後にした。
これでいい。エサの仕込みは済んだ。あとは目覚めた兵士や陰陽師たちがお膳立てしてくれるだろう。
ああ、早く。早く強くなっておくれ。願わくば晴明以上の陰陽師へと成長しておくれ。
血を分けた子孫のことを思い、葛葉は幸福を感じて股間を熱く潤すのだった。

 □□□□

そんな事があったが、兵士達の記憶が操作されている事もあり学士試験は普通に始まった。晴士も参加したが、やはり序盤から信じられないほどにメタメタである。同じように指を動かしているのに、まともに術を使えない。気の毒過ぎてもはや笑いすら起こらない。種族としての根本が違うという事に気づいていない晴士は落ち込むばかりだった。
なんだか、微妙な空気が漂い始めた。
そんな空気を轟音が破壊する。川が大きく盛り上がり、巨大な蟹が姿を現したのだ。
早速兵士達が弾かれた様に前に出て槍で攻撃しようとするが、攻撃が届く事は無かった。
蟹の吐きだした泡が無防備な彼等を容赦なく包み込み動きを封じた。
泡の中に入り込んだ兵士達は葛葉の幻覚の効果が再発してしまったようだった。
その泡はなにか酸の様な効果があるらしい。
兵士の持っていた槍や鎧を溶かし、ゆっくりと無防備にして行く。
武器も防具も無くなるというかなりまずい状況ではあるのだが、幻覚に心を奪われている彼等はただただ笑っているだけだ。

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