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暴れん棒将軍
官能リレー小説 - 時代物

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暴れん棒将軍 98

 ここで解説しよう。
 『エレキテル』とはオランダで発明されたとされる摩擦起電器であるが、古代中国には既にエレキテルが存在していた。科学者・永礼記(えい・れいき)が開発したこの機械は動力に人力を使い、数十人の奴隷に取っ手付き歯車を回させることで巨大な電力を得て行灯に電気の火を灯し、皇帝の寝所を照らし出したという。長山太夫らが使う楽器も同様の人力発電である。
 中世になるとそのエレキテルを使った楽器『得礫義他阿』(えれきぎたあ)や『神施祭座亜』(しんせさいざあ)までもが登場し、音響を増幅する装置『晏譜』(あんぷ)と『抄秘異化亜』(すぴいかあ)によって数里先までも響き渡る大音声を作り出し民衆の喝采を浴びたという。
 ちなみに『エレキテル』の語源が電気の火で宮廷を照らした永礼記の名前にちなんだものであることは言うまでもない。
                   (民明書房刊『驚異の古代中国音楽史』より)

 舞台に楽団と踊り子たちがぞろぞろと現れた。
 踊り子は前髪を残した若衆と見目麗しい女郎。それぞれ薄衣をまとい、大きな扇子や長布を持っている。衣の下には何も身につけておらず、乳房や陰部も全てが露わな裸同然である。
 背中に彫り物を入れ捻り鉢巻と褌を締めた筋骨たくましい男たちは、撥を持って太鼓の前へ。またある者は長さ二尺はある金属の管を抱えて吹き口を咥える。
 袴姿の初老の男たちは津軽三味線を構えて椅子に腰掛ける。最後に派手な着物を着た髪の長い女が文机の前に立つ。文机の蓋を開けると鍵盤が顔を出した。
「一、二、三、四!!」
 文机の女の号令と共に、楽団は一斉に楽器を鳴らし始める。

 ブオオオオ―――ッ!!!
 ベン、ベン、ベン、ベン、ベン!!!
 ジャーン、ジャーン、ジャジャ――――ンッ!!!
 ドォンドォンドォン!!! カッカッカッ!!!

 三味線・大太鼓・小太鼓がそれぞれ異なる拍子を刻み、それが重層的に折り重なる。そこに南蛮の笛やエレキテルの楽器が加わり、分厚い音の壁が出来上がった。
「うわわっ!」
「何なんじゃ、この騒音は〜?!?!」
 藤兵衛が耳を押さえて叫ぶ。大二郎らも耳栓をしながら首をすくめるが、ただ一人、家竜だけが舞台をじっと凝視していた。
「うおおおおお〜〜〜〜〜っ!!!!」
「きゃああああ〜〜〜〜〜っ!!!!」
 巨大な音の壁が芝居小屋を取り囲み、様々なリズムが重なりあい、大きなうねりを作り出してゆく。
 客席では皆口々に叫びながら総立ちで踊る。農民、町人、武士。身分も服装も様々な男女が酔いしれ、一丸となって踊る様子には鬼気迫るものがあった。皆汗だくになり、いつしか着物を脱ぎ捨てていた。
 …演奏はそのまま約四半刻も続き、聴衆の興奮が最高潮に達した頃であろうか?
 ようやく舞台上に『三味線歌姫』と異名をとる長山太夫が登場した。
 見ればすっきりした目元が色っぽい粋な中年増である。しかしその扮装が異様であった。
 ひっつめ髪にきりりと締めた捻り鉢巻。上半身は白い法被。裾を縛って丈を短くしており、豊かな胸乳がこぼれそうだ。
 そして下半身は『締め込み』と呼ばれる厚手のまわしを締めている。横褌には荒縄を挟み込んでいる。足元は紺の長足袋である。
 みっちりと肉がついた年増女の尻にまわしが食い込み、丸出しの臀部が動くたびにぷりぷりと揺れる。
「いよっ! 待ってました〜!!」
「長山太夫〜!! おケツが色っぺぇぞ〜!!」
「一晩おいらにやらしてくれよ〜!!」
 男どもの下品な野次も涼しい顔で受け流し、肩紐をかけた津軽三味線をベンベンと激しくかき鳴らしながら歌い始めた。
 歌声に合わせて踊りの男女が叫ぶ「オイサッ!」の掛け声もさらに激しくなる。

 祭りの前は 身体が疼く
 博多の娘 女衆が もろ肌脱いで 牝になる
 肌に馴染んだ 厚手のまわし
 一年一度 ケツ締め上げて 神輿担いで 走り出す
 オイサッオイサッ! オイサッオイサッ! オイサッオイサッ!

 祭りの最中(さなか) 身体が燃える
 濡れる法被に 乳透かせ おいど丸出し 艶姿
 男衆達の 視線が刺さる
 尻(けつ)に食い込む 甘い褌(みつ) 締め込み濡らす 淫ら女(め)よ
 オイサッオイサッ! オイサッオイサッ! オイサッオイサッ!

 祭りの夜は 身体が蕩ける
 男情けの 御珍棒様に 突かれ掘られて ぼぼ嬉し泣き
 極楽往生 弁天様よ
 担がれ悶える 姫神輿 わたしゃ あんたの子が欲しい
 オイサッオイサッ! オイサッオイサッ! オイサッオイサッ!

 祭りの後の 十月十日
 見事孕んだ 蛙腹 泣いていきんで 女陰(ほと)裂いて
 命ひり出す 観音様よ
 一世一代 命懸け 女の力 見せてやる
 オイサッオイサッ! オイサッオイサッ! オイサッオイサッ!

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