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暴れん棒将軍
官能リレー小説 - 時代物

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暴れん棒将軍 117

「しかし又八よ…。隠密衆をあまり派手に動かすと、家虎様や天草が事前にこちらの動きを嗅ぎつけるやもしれぬぞ?」
 …と、心配する飛騨守。
「その点はご安心下さいませ。尾張隠密衆とは違う女忍衆がおりますゆえ、この者たちを使いまする」
「むっ、儂もそんな話は聞いたことがないぞ? お前、いつの間にそんな者を?!」
 いささか驚いた様子で飛騨守が聞き返した。
「諸国を探索中に、貧しい農村から捨て子やもらい子を拾って隠れ里で忍びの修行をさせておりました。この者たちなら私子飼いの手下。我が尾張隠密衆や武将隊にも知られず動けまする。忍術はいささか心もとないものの、この者たちなら幾ら死んでも構いませぬ。安心して人柱として使えましょうぞ」
「うむ、それならよかろう」
 満足そうに頷く飛騨守。
 しかし、それを聞いた家竜はいささか顔を曇らせた。この男は女たちを使い捨てにするつもりなのだ。
 まさに非情。しかし、それが忍びというものの本質である。
(こやつ、今は味方だが決して油断ならぬ奴…)
 押し黙る一同。家竜と藤兵衛は顔を見合わせた。
 今はまず、家虎の野望をくじくことが第一だ。大の虫を生かすために小の虫を殺さねばならぬ。
(家竜、ここは我慢せい! それが国を治める者の器量というものじゃ!!)
 …と、藤兵衛が目配せする。
 藤兵衛の意図を感じ取った家竜は黙って頷いた。

 こうして武将隊に対抗する知恵が大分出揃ったところで、再び家竜は口を開いた。
「隆慶とかいう坊さんが用意してくれた草薙剣と数珠が届いたら、すぐに戦の準備だ。まず俺が天守閣に篭っているという家虎の野郎と天草と武姫を引き受ける」
「家竜! いくら草薙剣があったとて、それは無茶というものじゃ!!」
 藤兵衛が立ち上がって叫んだ。
「そうです! 納得がいきません! 私がお供いたします!!」
「その通りです!!」
 大二郎と雅もそれに続いた。
「いいから黙って聞け! お前たちは又八の配下を連れて残りの武将隊を食い止めろ。大二郎は小姫、爺さんは瞬姫、雅は十姫、楓は半姫をやっつけろ」
「駄目だよ上様! あたいが一緒についていく!!」
「じゃあ楓、半姫の相手は誰がする? あいつに対抗できるのはお前しかいないんだ!」
 しかし楓は引き下がらない。
「駄目ッ!! 上様をそんな危険な目にあわす訳にいかない!! 絶対ついて行くから!!」
「馬鹿っ! 俺の言うことが聞けねえのか?!」
 それまで黙って聞いていた又八が突然口を開く。
「では、こうしたら如何でしょう? 私が半姫の相手を引き受けましょうぞ」
「ならぬ又八! お前が動いて奴らに感づかれたらなんとする!」
「般若の面でもかぶりまするゆえ、ご心配には及びませぬ。それに一度行動を起こせば、いずれ敵に知れるは必定。飛騨守様、この際ご覚悟をなさいませ」
 又八は心配する飛騨守を諭した。


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