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暴れん棒将軍
官能リレー小説 - 時代物

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暴れん棒将軍 9

 しばらくすると、上からばさりと縄梯子が下された。
「大丈夫。今、見張りが通り過ぎた。あと一刻(2時間)は回ってこない」
 上から楓の声がした。
「お前ら早くこれをつけな」
手渡されたのは頭巾だった。和馬と凛はそれをいそいでかぶる。
それに対し家竜は懐から手ぬぐいを取り出すとほっかむりをした。さらに着流しの裾をまくり上げて帯に挟み込み、尻っぱしょりにする。
何故かこの手の事件によく遭遇する為、この手の潜入にもスッカリ慣れてしまった。
(これで夜の屋敷に潜入するのは、五回目くらいか・・・さすがに自分でもどうかと思うがな・・・)
家竜を先頭に三人は縄梯子をよじ登っていった。
「大名屋敷の構造なんぞ基本似たり寄ったりだ・・・ただ、奴等女を閉じ込めておく為に、地下牢を拡張してるみたいだ・・・入り口は此処な・・・どうやら移動の為に、外へ通じる隠し通路も作っているらしい・・・出来れば一毛打尽にしたいから二手に分かれる・・・俺たちが、搖動の為に片方の入口から奇襲を掛けるから、お前は出口側の通路から、コッソリ忍び込んで、女たちを救出しろ・・・もしも見つかった場合は、とにかく時間を稼げ・・・そうすりゃ助けに行ってやる」
家竜は懐から取り出した屋敷の詳細な地図を指差しながら、和馬に作戦を説明した。
「こんな詳細な地図を一体何所から・・・」
和馬はその地図の余りの詳細さに半ば呆れている。
「秘密だ」
その質問に家竜は、悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「良し!!行くか!!」
作戦の説明を終えると、家竜と和馬は二手に分かれ、女たちの救出に向かった。
「さてさてあの坊やは上手くやってくれるかね・・・」
「恐らく大丈夫でしょう和馬様も、護衛役の者もそれなりに腕が立つようでしたし・・・」
「だと良いがな・・・イクゾ楓!!」
「はい・・・」
二人はそう言うと腰の刀を抜く。
「だ!!だれだ手前ら!!」
「正義の味方だよ!!」
「ぎゃあ!!」
家竜は軽口を叩きながらも、冷酷とさえ思える手つきで、見張り役の男の首を刎ねた。
「さて行くか」
「はい・・・」
家竜は人を一人きり殺した事など忘れたような軽い足取りで、隠し通路の中へと侵入する。
だが、侵入したその場所には、誘拐された女たちはもちろん、人っ子一人居なかった。
「どういうことだ?もう奴ら、女たちを連れて出て行ったんじゃ無いだろうな・・・」
家竜の質問に楓は、それを否定する。
「いえ・・・それはあり得ません・・・」
「だったら・・・」
そう言って話し合う二人の耳に、遠くから争い合う音が聞こえて来た。
「・・・あのバカ・・・救出役が囮より先に見つかってどうする・・・」
「いかが致しましょう?」
「予定変更だ!!あいつ等が囮役をやっている間に、俺たちが女たちを救出する」
「御意・・・」

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