暴れん棒将軍 76
「…はっ。ここは…?」
お蝶が目を覚ました時は布団の中であった。
見上げると見慣れた天井である。ここは自分の家なのだ。
辺りは真っ暗だ。既に陽はとっぷり暮れて行灯の明かりがついている。
「気がついたかい? いきなり倒れちまうから心配したよ。ここまで運ぶのが大変だったぜ」
「きゃっ!!」
いきなり上から声が聞こえてきてお蝶は飛び起きた。
お蝶の布団の脇に家竜はずっと座っていたのだ。
「…いつから…?」
「ここに着いてからずっとさ。お蝶さんの寝顔を見ていたかったんだ」
「……………」
お蝶はそのセリフを聞いた途端、頬がかあっと熱くなり頭から布団をかぶってしまった。
「かっ…からかうのも大概にしておくんなさいましっ!!」
「はははっ。いいじゃねぇか。本当のことだ。それよりもっといい話があるんだ。悪代官も駒蔵も召し捕られて駿府町奉行で吟味の最中だそうだぜ!」
家竜は背を向けるお蝶に向かってにっこりと微笑んだ。
「もう町中の噂になってるよ。これでこの町もちったぁ良くなるだろう。どうだいお蝶さん、いい話だろ? …んっ?!」
返事がない。それに布団が小刻みに震えている。
「おい、どうした? 具合でも悪いのか?」
家竜があわてて布団をのけると、お蝶は背を丸めてうずくまっていた。
「あっ…! あ…っ! はぁっ。はぁっ。はぁっ…」
敷布団に突っ伏したその顔は上気して真っ赤だ。見れば、その両手は股の間に伸びている。
緋色の襦袢の下では指がせわしなく動いているようだった。
くちくちくち…っ!
もっこりと膨らんだお蝶の股座から湿った音が響く。
「ああ――――ッッ!!」
よだれを垂らしながら身悶えするお蝶。
昼間さんざん肥後ずいきに責められ続けた二穴が再び疼きだしたのだ。
楓か雅にでも世話を任しておけば、女同士でお蝶を風呂にでも入れて上手く女陰を洗い流してやることもできたろうが、美しいお蝶の肉体に気圧された家竜はうっかりそのことを忘れていたのだ。
(しまった…! 俺の考えが甘かった!!)
家竜は自分の不明を恥じた。
「お蝶さん! 今、誰か呼んでくるからな! ちょいと待ってろよ!」
そう言って立ち上がろうとする家竜。
しかし、お蝶の手がその足首を掴んだ。溢れ出る牝汁でべとべとになったか細い指がねっちょりとからみつく。そのいやらしい感触は男を奮い立たせずにおかないものだった。
「行かないで…下さいまし…っ」
「お、お蝶さん…!!」
「貴方が高貴なご身分の方だというのは薄々感づいておりました…。なれど…生き恥を晒し尽くしたこの哀れな女めに、せめて一夜のお情けを…!」
お蝶は家竜の足にすがりついて、すっかり盛り上がっている下帯の膨らみに頬ずりしていた。
「はぁ…はぁ…」
お蝶は家竜の着物の前をはだけると、逸物を取り出す。
「ああ…。なんて逞しい御珍棒!」
うっとりしたように呟くお蝶。
愛おしむように両手で押しいただき、愛らしい口で逸物をしゃぶり始めた。
その刺激に家竜の陰茎はたちまちそそり立つ。くわえきれないほどになった剛直を、お蝶は巧みな技で愛撫してゆく。
「ぺろっ。ちゅばっ…。じゅぽっ。ずずずずっ。れろん、れろん…」
今は亡き長次郎にたっぷりと可愛がられたお蝶は男のツボというものを知り尽くしている。
玉袋を優しく揉みながらカリ首にちろちろと舌を這わす。
はたまた亀頭全体を激しく吸いながら首を前後させて擦り上げる。しかもそうしている間中、その瞳は家竜をじっと見据えたままだ。
「ううっ! たまらねぇ…。なんてぇ舌遣いだ…。俺としたことが…もう逝っちまいそうだ! ああっ! お蝶さんっ!」
思わず家竜が上ずった情けない声を上げる。
こんな姿を楓や雅に見られたら何と言われるだろう? しかし今の家竜にそんなことまで気を回す余裕はなかった。
「…出すぞっ! 出すぞっ! いいか? 全部飲むんだぞ? お蝶っ!!」
感極まった家竜はお蝶の頭をがっちり掴むと、喉の奥に向かって豪快にぶちまけた。
ずびゅっ! ずびゅっ! ずびゅううううっ!!
ここ数日で溜まりに溜まった、ドロドロの特濃子種汁が噴出する。
「むぐううっ!! ぐふっ! げふっ!!」
あまりの量に窒息しそうになったお蝶は目を白黒させるが、家竜に掴まれているので逃げられない。
「うげええええ…っ!」
口の中いっぱいに独特の苦味と酸味が広がった。
涙を浮かべながらなんとか子種汁を飲み干してゆく。
ごくん。ごくん…っ。
頬を引っ込ませたまま喉を鳴らして精飲するお蝶。しかし口の中の剛直はまったく柔らかくなる気配が見えなかった。