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暴れん棒将軍
官能リレー小説 - 時代物

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暴れん棒将軍 69

 翌朝、代官所の前に立札が立った。
 そこにはこう書かれていた。

『清水のお蝶
 右の者、貞淑たるべき女の身でありながら侠客を騙るなど不埒千万、
 また無宿人三名と謀り賭場を荒らし市中を騒がしたる罪、誠に不届至極也
 明朝、市中隅々まで引き回しの上、北原刑場にて磔獄門に処するもの也』

「何だって?! 代官の野郎、ふざけやがって!!」
 見回りに出た子分・市蔵から知らせを受けた追分の松五郎は憤慨した。
 顔を真っ赤にして拳を握り締める巨体はさながら不動明王だ。
「兄貴、いってぇどうするおつもりで?」
「決まってんだろ! 救い出すんだ!! 姉御が刑場に引き出されてきたら、俺たちが姉御をさらってどっかに落ち延びさせる!」
「そんなこと言っても…。俺たち子分をかき集めても十人がやっとですぜ…。役人どもから姉御を救うにはちっとばかり頭数が足りませんや…」
「うっ!! …そうだ、和田島の長兵衛親分は義理人情に篤い方だ。親分ならきっと助けてくれる。俺が直接助太刀を頼んで来るぜ!!」
 松五郎はそう言うなり、矢のような勢いで飛び出していった。

「この川を渡れば親分のシマ(縄張り)はもうすぐだぜ…」
 走り続けて一息ついたところで丸五郎の前に現れた一団。
 丸太やドスを手にした駒蔵一家の子分がずらり二十人ほど並んでいる。その真ん中には明神の常吉が陣取っていた。
「おい松五郎よぉ、おめぇにはずい分と世話んなったよなぁ? 今日はその借りを返しに来たぜ」
「てっ、てめぇ! よくも姉御を駒蔵に売りやがったな! ぶっ殺してやる!」
「返り討ちにしてやらぁ! おいてめぇら、こいつをやっちまえ!!」
「へいっ!!」
 常吉目がけて松五郎が突進する。迎え撃つ駒蔵の子分たちが一斉に飛びかかる。
 二十対一の大乱闘の火蓋は切られた。
「うおおおおおおおっ!!!」
 ドカッ! バキッ! ゴンッ! ゴキッ!
 怒声が飛び交い、埃と血飛沫が舞う。子分たちは松五郎の剛腕に弾き飛ばされてゆく。
 しかし、松五郎が常吉の目前に迫った瞬間だった。
 バァン! バァン!
 常吉が懐から取り出した短筒が火を噴く。
 松五郎はうめき声を上げてその場に崩れ落ちた…。

 そして運命の朝。
 牢屋に入れられていたお蝶が役人たちに連れられ、代官所の前に引き出されてきた。
 両腕を前で縛られ、着ているものは緋襦袢一枚のみ。下には腰巻さえも身につけてはいない。
 己の信念を貫き潔く死ぬと悲壮な決意を秘めたその顔はどこか淋しげではあったが、実に落ち着いたものであった。
 そこに代官の命令が飛ぶ。
「この女の着物を剥ぎ取れいっ!」
 はっとしたお蝶の顔色が変わった。
 左右に控えた役人が襦袢を脱がしにかかると、抵抗しながら思わず叫んだ。
「そんなっ! 後生でございますっ! 既に覚悟を決めた身ではございますが…そこまで辱めないでくださいましっ! せめて…せめて腰巻を…っ!!」
「ええい、ならぬならぬっ!! 布一枚身につけることはまかりならぬ!!」
「そんな! お慈悲を! …お慈悲をっ!!」
 代官の非情な命令の下、襦袢はびりびりと引き裂かれ、お蝶は素っ裸にされてしまった。
 そして合掌後ろ手に縛り直され、縄で豊かな胸乳をくびり出される。
 上下から縛られた乳房全体が大きく前に飛び出し、先端には早朝の肌寒さに硬くなった乳首が突き出している。その様子は凄絶な色っぽさがいや増した。
「うううう…。こんな生き恥を…あんまりでございます」
 お蝶がうつむいて嘆いていると、後ろから声をかける者がある。
 もちろん代官と結託する黒狗の駒蔵であった。
「お蝶よ…本当の生き恥ってのは、こんなもんじゃないぜ。前を見てみな!」

 代官所の前には馬丁によって一頭の馬が連れられてきた。罪人を乗せる裸馬である。
 しかし、どこかおかしい。見ればちゃんと鞍が乗せられているのだ。
 その鞍もまた異様であった。鞍の真ん中には二本の棒がくくりつけられている。
 それは芋の茎を編み上げて張形状にしたものだった。いわゆる『肥後ずいき』と呼ばれる当時の性具であることは明らかだ。そして前の一本は太く、後ろの一本は細い。
 これが何を意味するのかを、お蝶は瞬時に理解した。
「嫌ぁあああ―――ッ!!」
 かぶりを振って嫌がるお蝶の顎を、駒蔵が掴んで無理やり口を開かせた。
「お代官様! この女、舌を噛むかもしれませんから猿轡を用意してくださいまし!!」
「これ、猿轡を持って来い!」
「はっ!」
 お蝶の口にはたちまち猿轡が嵌められてしまった。
 くり抜いて中に麻縄を通した竹の筒が歯と歯の間にがっちりと食い込む。
「むぐううう…っ!!」
「お蝶よ。諦めるんだな。お前はたっぷりと生き恥をさらして泣き悶えながら死んでゆくんだ。ワシの女房になっておけばこんな目に遭わずに済んだのに…」

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