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暴れん棒将軍
官能リレー小説 - 時代物

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暴れん棒将軍 68

 いきり立った松五郎が飛びかかろうとしたが、お蝶の鋭い怒声が飛んだ。
「松五郎、がたがた騒ぐんじゃないよっ!! お役人様、あたしは逃げも隠れもいたしません。お調べになれば無実かどうかすぐにわかることです」
 毅然と言い放つお蝶。役人は憎々しげに睨みつけた。
「おのれ、あくまでもシラを切るつもりか! おい、者ども、この女を引っ立てい!!」
「へいっ!!」
 手下によって身体には縄がかけられ、お蝶は代官所に引き立てられていった。

 ここは代官所。
 連れ込まれるなり、いきなり着物を脱がされて腰巻一枚にされたお蝶。
 両腕を縛られたまま吊るされており、二人の手下が両側から身体を棒で叩いている。
 バシン! バシン! バシン!
「おらおら、ならず者をどこへ隠したっ!」
「正直に言わぬと、もっと痛い目を見るぞ!!」
「知らないものは…答えようが…ありませんねぇ…」
「おのれ…あくまでもシラを切り通す気か!! それ、もっと激しく打つのだ!」
「…うぐ――ッ!!」
 お蝶の身体から力が抜け、がっくりと崩れ落ちる。
 とうとう気絶してしまったようだ。
「気を失いおったか…。いったん下ろしてやれ」
 滑車がカラカラと回り、お蝶の身体が板の間に寝かされた。

「うううう…ん…」
 どれほど経ったか、気絶していたお蝶は意識を取り戻した。
 身体をぬるぬるしたものが這い回っている感触がある。
 目を開けてみると、巨大な男が覆いかぶさって全身を舐め回しているのだ。
「げへへ…。玉の肌がこんなに傷だらけになってしまって…。ああ、もったいない…」
「はっ! あんたは…」
 お蝶は思わず全身をこわばらせる。
 そう。
 お蝶の身体を舐めるこの醜い男こそ、清水一家と対立する黒狗の駒蔵であった。
 駒蔵は酒焼けしたぶよぶよの身体から脂っこい汗をにじませ、荒い息をはずませている。
「この卑怯者っ! 身動きできない女にしか手が出せないのかい!!」
「ああ…お蝶…ずっと前からお前に惚れておったんだ! 今こそワシの物になっておくれ!! お前がワシの物になれば清水一家と駒蔵一家は一つになる。二人で縄張りを広げて面白おかしく暮らそうじゃないか…」
「何言ってんだい、このおたんこなす! 悪代官と手を組んで堅気の衆を苦しめるお前みたいな奴とは死んだって一緒になるもんか!!」
「うわわっ!!」
 お蝶は自由になる両脚を使って駒蔵の顔面を蹴りまくった。
 がんっ! どかっ! げしっ!!
 お蝶の渾身の力を込めた蹴りは、たちまち駒蔵の歯を叩き折り、鼻をひしゃげさせる。
 ぴゅ―――――っ!!
 駒蔵の顔面からは勢いよく鼻血が吹き出した。
「こっ! このアマっ…! 優しくしてやりゃあつけ上がりやがって!! そっちがその気ならお代官様に言ってお前を磔にかけちまうぞ!!」
「おう、上等じゃないか! お前みたいなヒキガエルに犯されるぐらいなら死んでやる! さぁ殺せ! 殺しやがれっ!!」
「うげええっ!!」
 いきり立ったお蝶はさらに激しく足を繰り出す。
 血まみれの駒蔵はたまらずお蝶の身体から手を離した。
 そこに顔を出したのは、へらへらと笑う明神の常吉である。
 この男は以前から駒蔵ともよしみを通じていて、清水一家の縄張りを全部奪い取った暁には自分に仕切らせて欲しいと取り入っていたのだった。
「駒蔵親分、あっしにいい考えがありやす。ちょいとお耳を…」
「うん? 何でい常吉?」
 常吉は駒蔵の耳に口を近づけると何やら喋りだした。
「ごにょごにょごにょ…」
「うひひ、そうかわかった! お蝶! じゃあ、てめえの望み通り殺してやる! このワシに逆らったことをあの世でたっぷり悔やむんだなぁ!!」
 そう言い放つと駒蔵は常吉を連れて仕置部屋から立ち去っていった。
 三角木馬、水桶、算盤板、石板など様々な拷問道具が並ぶ板の間。
 両腕を縛られたお蝶はそこにただ一人残されることとなった。
 お蝶がふと下半身を見ると、腰巻がなくなっている。
 腰巻は気絶している間に剥がされて、駒蔵の唾液まみれになって板の間に投げ捨てられていた。
 それを見たお蝶の目に、一筋の悔し涙が光った。

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