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暴れん棒将軍
官能リレー小説 - 時代物

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暴れん棒将軍 65

(おい、家竜。奴らをぶちのめすつもりじゃないだろうな?)
(当たり前だろが! このまんまじゃ俺たちオケラだぞ!)
(馬鹿者! ここで無駄な騒ぎを起こしてどうするんじゃ!! 代官所から役人が駆けつけて大騒ぎになるぞい!! 先日の騒動では三日も山に隠れていたのを忘れたか?)
(あっ! しまった…)
「やいてめぇら! いつまでごにょごにょ話してやがる! やるのかやらねぇのかはっきりしろい!!」
 金蔵が怒鳴りつけると、三人はくるりと向き直って土下座した。
「…親分さん、俺たちが悪かった! 許しておくんなさい!!」

 半刻ほど後。
 チンピラたちが筵を三つ担いで川原の土手を歩いていく。
 中身は袋叩きにあいボコボコにされた三人である。身ぐるみ剥がされて簀巻きで川に放り込まれるところだ。
「アイタタタ…老人をいたわる気持ちのない奴らじゃ」
 額を押さえながら、藤兵衛が言う。
「なんの、これしきのことで私は挫けませんよ!」
 体力自慢の大二郎は全く動じる様子がない。
「大丈夫。この展開ならそろそろ楓が助けにくる頃だ。今に手裏剣がしゅしゅーっと飛んでくるぜ!」
 そして自信たっぷりに家竜が言う。
 しかしいつまで経ってもそれらしい物音はない。チンピラの悲鳴も聞こえてこなかった。
「おい家竜。お前のせいじゃぞ! お前がおとなしくせいと言うからワシは黙って殴られるままにしておいたんじゃ!」
 前言をなかったことにして勝手な文句を言う藤兵衛に、大二郎は必死で笑いをこらえている。
「おいおい楓! どっかで見てやがるんだろ?! 早く助けろってんだ!!」
 家竜は筵の中からでかい声で叫んだ。
「うるせぇぞ町人! もうすぐ冥土に送ってやるからおとなしくしてやがれ!!」
 ボコッ! バキッ!
 家竜の顔面に再び拳がめり込んだ。

 と、その時。
 どどど…っと多勢の男たちが駆け寄ってきた。
「お前たちいい加減におし! あたしの縄張りで勝手な真似はさせないよっ!!」
 凛とした声が響く。
 家竜らが筵の中からやっとこ首を向ければ、そこには艶っぽい女侠客が立っていた。どうやら子分たちを率いて駆けつけたらしい。
 髪はひっつめ髪。鋭く輝く瞳と紅をさした唇。左目下に色っぽい黒子。腰には女物を短く切り詰めた帯を巻き、長脇差を差している。眩しいほど白い素足に下駄履きだ。
「イカサマ賭博で旅人から金品巻き上げるなんざ男じゃねぇ! 例え清水のお蝶が許しても、この背中の蝶が黙っちゃいねぇぜ!! その筵を下ろしてとっとと帰りな!」
 お蝶と名乗る女侠客は後ろを向いてばっと片肌脱ぎになる。厚く巻かれた晒し布と背中の蝶が舞う彫り物が目に入った。
「なんだとこのアマァ! やるってぇのか?! 望むところだ!」
 チンピラたちは家竜らを地面に放り出すと、そのままお蝶たちに飛びかかっていく。お蝶たちもわぁっと叫んでそれに応じる。たちまち大乱戦となった。
 バキッ! ドゴッ! ボカッ!
 家竜は筵の中から顔を出して情勢を伺うが、よくわからない。
 しかしやがて大勢は決したようで、チンピラどもがちりぢりに逃げ出した。
「ちきしょうっ、覚えてやがれ! 俺たちの後ろには駒蔵親分がついてるんだからな!!」
 お蝶たちがえい、えい、おうと勝ち鬨の声を上げた。

 子分たちに筵の縄を解かせ、家竜たちを開放するとお蝶が話しかけた。
「旅のお方、ずい分と怖い思いをしなすったね。これでもう安心だ」
「あんたお蝶さんというのかい? 本当に助かったぜ! 俺は家竜…じゃない竜助ってんだ。よろしくな!」
 家竜は元々美人に弱い。楓や雅とは別行動していればなおさらだ。
 下帯一丁の情けない姿であるのも忘れて目いっぱい気取って話しかける。
「しかしワシら一文無しにされてしもうた。どこにも泊まるあてがないんじゃ。申し遅れたがワシは江戸の呉服問屋の隠居での、藤兵衛と申します。これは番頭の大二郎」
 縮こまって哀れっぽく藤兵衛が言う。
「それならあたしの家においでなさい。大分騒々しいが寝床はありますよ」
 お蝶はにっこりと微笑んだ。
 こうして一行は清水一家に草鞋を脱ぐこととなった。

 その晩、お蝶の家で物置部屋を借りて布団に入った家竜たちだったが、夏の蒸し暑い夜は何分寝苦しい。
 高いびきでぐうぐう眠る二人を置いて、家竜は蚊帳を抜け出し、厠に立った。帰りに廊下を歩いていると裏庭の方から、何やらバシャバシャと水音が聞こえる。
(うん? 何だこんな夜中に…)
 こっそりと近づいて見てみれば、裏庭の隅でお蝶がたらいを出して行水しているではないか。
 家竜は思わず裏庭の茂みに隠れて凝視した。
 淡い月明かりに照らされたお蝶の裸身。張りのある乳房も、脚の付け根の黒々とした陰りも、すべてが丸見えだ。しっとりと水に濡れた女体はふるいつきたくなるような色っぽさだ。
 何度も水をかけてすっかり身体の汗を流したお蝶は、知ってか知らずか家竜の方に向き直って片膝座りになると、股間に手を伸ばした。
 むにゅっ。
 お蝶は左手で自分の柔肉を押し広げると、蜜壷を指で洗い始めた。
 大事な部分に生臭い匂いや垢が溜まらないようにするのは大人の女の嗜みである。襞の奥まで指が入り込み、丹念に掻き出してゆく…。
 くちゃっ。くちゃっ。
 耳を澄ますとかすかに湿った音が聞こえた。

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