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暴れん棒将軍
官能リレー小説 - 時代物

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暴れん棒将軍 7

家竜が店の中に入ると、何時もは暑苦しい程に元気の良い大家のオヤジが沈んだ目をしていた。
「ああ!!竜さん!!お願いだ助けてくれ!!」
「どうしたんだオヤジさん!!何が有ったんだ?」
家竜はとにかく大家のオヤジを落ち着かせる。
「ああ実はもう五日も娘の珊瑚が帰って来ないんだ!!奉行所のお役人が言うには、恐らく噂の人買い共に連れ去られたんだろうって・・・竜さん・・・もし娘に何か有ったら、あたしゃ死んだ女房に何て言って詫びればいいんだろ・・・」
大家はそう言うと感極まったように、目から涙を流す。
「落ち着いてくれオヤジさん!!もし人買いに浚われたのなら、殺されちゃあいないハズだ!!きっと珊瑚は無事だよ・・・」
「竜さん・・・」
「安心しろよオヤジ!!大家と店子は親子も同じだ!!珊瑚は俺が必ず無事に連れて帰って来るよ!!」
「ありがとう竜さん・・・」
(そうとも俺は天下の将軍様だ!!つまり江戸の住民は・・・いや!!この日の本に住む全ての住人は、この俺様の店子なんだ!!それを傷つける奴らを俺は絶対に許さねえ!!)
家竜は新たな決意と共に、この事件を解決し、誘拐された全ての女を無事に救出する事を心に誓った。
珊瑚の父親である大家のオヤジを落ち着かせた後。
家竜は一端竜宮長屋の自室に戻り、御庭番たちからの連絡を待っていた。
「上様・・・」
「楓か!!誘拐の件何か分かったのか!!」
突如として暗闇から気配を消した女が一人現れた。
其処に居たのは、家竜直属の忍びの一人であり、家竜の護衛兼愛人である。くノ一の楓(かえで)だった。
「はい、上様のお考えの通り、黒幕は廻船問屋でした・・・間違い無く犯人は船越屋です。どうやら奴らは、御取り潰しに成った元大名家の奥屋敷を買い取り、其処に女たちを監禁しているようです」
「そうか・・・江戸で誘拐した女たちを秘密裏に運ぶなら、陸路より海路を使うだろうと思って、廻船問屋を重点的に探させたんだが、どうやら当たりだったようだな!!」
家竜は自分の勘が当たった事と、これで事件を解決出来る事に、嬉しげな笑みを浮かべた。
「はい・・・ですが厄介な事も分かりました・・・」
「?・・・何だ?」
「どうやら奴らは、今夜にでも誘拐した女たちを船で江戸から連れ出す心算の様です・・・」
「!!何だと!?」
楓のその報告に家竜は、焦りを覚えた。
何故なら一度江戸を出て藩領に逃げられれば、藩領には幕府の捜査権が及ばない。
もちろん正式に手続きを行えば、藩と協力の上で捜査も可能だが、それに時間を食われると、最悪誘拐犯を取り逃がし、女たちの救出に失敗する可能性も出て来る。
だが、時刻は既に子の刻(夜の0時)を回っており、今から奉行所に訴えても間に合わない。
「・・・楓奴らの人数は何人ぐらいだ?」
「はい、恐らく3〜40人前後かと・・・見取り図は此方に・・・ただこの地図は、あくまで旧藩邸時代の物です・・・どうやら奴らは、地下牢を拡張したり、抜け穴を掘るなど、幾つか改造を施しているようです・・・」
楓は懐から地図を取り出すと、それに記された図面を一つ一つ指差しながら、家竜に説明して行く。
「なるほど・・・相手には人質も居るからな・・・俺たちだけでは、少し戦力が足りないかもな・・・」
家竜は子供の頃から剣術を趣味にしており、その腕前は達人級と言って良い。
まして将軍直属のくノ一である楓の腕前は、言わずとも知れている。
本来であれば、3〜40人など楽に倒せるのだが、相手に人質が居るのでは、気安く突っ込んで行く分けにもいかない。
「はい・・・搖動係として最低あと数人は必要かと・・・」
「う〜ん・・・そうだ!!確か奴らが使っている大名屋敷は、隅田川向嶋だったな!!」
「はい・・・それがどう成されました?」
「ちょうどイイ・・・妹の旦那に手伝ってもらおう・・・」
家竜は楓に妹である紫月姫の夫を呼びに行くよう命じると、自分は北町奉行である忠成への手紙を書き、それを岡っ引きの与太郎を叩き起こして、届けさせた。

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