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暴れん棒将軍
官能リレー小説 - 時代物

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暴れん棒将軍 26

(手足の感覚が鈍い…。やはり痺れ薬か! このまま一気に駆け抜けるしかない!)
 楓は低い姿勢を保ったまま、ジグザグに森を走り出した。
 そう思った瞬間、股間にズキン!と鋭い痛みを感じてつんのめった。
「くっ…!!」
 向き直って仰向けになり、痛みを感じる場所を確認すると、股間を締め上げるふんどしの中心部に深々と長い針が突き刺さっている。
 引き抜こうとしたが、既に全身に痺れが走り、思うように腕が動かない。
 あせってもがく楓の前の後ろから男の声が聞こえる。手には吹き矢の筒があった。
「驚いた奴だ。あの毒をくらってもまだそれだけ動けるとは…。油断ならぬ奴め」
 男の懐から再び縄が幾条も伸び、楓はあっという間に手足を縛り上げられてしまった。
 イモムシのような形で固定された楓に猿ぐつわをかますと、男は楓を肩に担ぎ上げてしまった。
「これは良い土産ができたわ」
 そして荒れ寺の中へと運び込まれてゆく。

 どさっ。
 楓は板の間に放り出された。
 そこには暗い明りを灯す燭台が一本、その脇には件の女剣士が刀を携えて座り込んでいた。
「糞虫。私達の後ををずっとつけてきたのはその者か?」
「ああ。この女、家竜の手下にしてはなかなかのタマだ。いたぶり甲斐がありそうだわい。ひっひっひ…」
 『糞虫』と呼ばれた男は舌なめずりして笑うと、楓の股間に突き刺さった針を掴んでぐりぐりと回した。
「…………っ!!」
 楓は声も上げずにじっと耐えている。
「おい、やめぬかっ!! この下衆がっ!!」
 女剣士が立ち上がって声を荒げた。
「私は家竜と一対一の尋常な果し合いをするため江戸に来たのだ! 女は離してやれっ!!」
「嫌なこった! 利用できるものは何でも使う。忍びの鉄則だ。雅は知らぬのか?」
「…その名前で呼ぶなと言ったはずだ!」
 チャキッ。
 女剣士が鯉口を切った。
「おおこわ。わかったよ。これ以上この女に手出しはしねぇ。ただし人質として家竜をおびき出す役はやってもらう」
「…よかろう」
 『雅』と呼ばれる女剣士は、再び座り込んだ。
「それより腹が減った。どこかから食い物を盗んでこい。斬り裂かれた着物の代わりもだ」
「何だとぉ?! 俺はお前の家来じゃねぇぞ!」
「…何度も言わせるな!」
「ちっ。…仕方ねぇな」
 言い終わる間もなく糞虫は忽然と消えた。
 男がいなくなったのを見て、雅は立ち上がって楓の方に向き直った。
「おい、女。すまぬことをしたな。傷の手当てをしてやろう」
 雅は、縛られたままの楓をうつ伏せにして腰を浮かせると、股間からすっ…と針を引き抜いた。
「………っ」
「よく見せてみろ」
 雅はふんどしをずらして楓の性器を露出させた。秘裂の奥からたらりと血が流れている。
 ぐいっ。
 雅の指が肉びらを左右に押し開くと、さらけ出された肉庭には女の穴の他にもうひとつ、針の刺さっていた傷口が口を開けていた。
「少し沁みるが、我慢しろよ」
 雅は徳利から焼酎を口に含むとぶっ!…と拭きつける。
「………っっっ!!!」
 楓は痛みに少しだけ身悶えた。
「いい傷薬がある。これを塗ってやろう」
 ぬるり…。
 油薬の塗られた指先が、敏感な花園の奥まで潜り込む。
「…はっ。…あふっ!」
 今度は痛みと入り混じった快感に身悶える番だった。
 穴の奥からあふれ出す淫汁が薬と共に雅の指を汚してしまう。
「…なんだ感じているのか? 敏感な身体だな。家竜にさぞ可愛がられているのだろう」
 懐の手拭いで濡れた指先を拭くと、雅はさらに話し続ける。
「よく聞け。しばらくの間ここにいてもらうが、お前に危害を加えるつもりはない。私の狙いは家竜一人だ」
(あたいがいるかぎり、上様には指一本触れさせないよ…!)
 怒りに燃える楓の目が、そう語っていた。
「ふっ。お前は本当に主君思いだな。だが、その想いがどれだけ通じているのかな?」
 雅はそう言って、遠い目をした。
 この刺客行の発端を思い出していたのだ。

その日雅は、尾張藩の江戸屋敷の一角に作られた、小さな茶室で、主君である尾張藩主徳川家虎(とくがわ いえとら)公と向かい合っていた。
初めて見る家虎公は、今年25歳の青年で、年若いながらも、尾張62万石の太守に相応しい、堂々とした容貌をしている。

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