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暴れん棒将軍
官能リレー小説 - 時代物

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暴れん棒将軍 25

だが、次の日もその次の日も、楓は帰っては来なかった。
(・・・楓の奴まさか死んじゃあ居ないだろうな・・・正直俺の女共の中で一番死にそうに無い女なんだが・・・クソ!あのアホが!!ご主人様を心配させやがって!!帰って来たら、お尻ペンペンした後。全身を縄で縛って犯してやる!!)
「上様!本日の目安箱に御座います!」
「うむ!!ご苦労!!」
あの後、秋山大二郎を医者に連れて行った家竜は、大二郎の怪我が命に別状が無いと知ると、次の日の朝には、政務に戻る為に抜け穴を使って江戸城へと戻った。
「何々・・・隣の家の犬が夜中に吠えて五月蠅いです何とかして下さい・・・・知るか!!そんな物自分で何とかしろ!!」
家竜は紙をズタズタに引き裂いた。
「たくっ!近頃ろくな意見がねえな!!」
そう愚痴を呟きながらも、次の投書を見た家竜の顔色が変わった。
「上様?如何なされました?」
「い・・・嫌何でも無い・・・少し政治に付いて痛い所を突かれてな・・・ハハハハハ・・・」
家竜のその笑いに近習の侍は不審に思った様だが、あえて何も言わなかった。
(危ない危ない・・・それにしても楓の奴珍しくドジ踏みやがったな・・・)
その投書にはこう書かれていた。
『家竜公へ  貴方の女は預かった。返して欲しければ三日後の丑三つ時に竜虎神社に一人で来い。一人で来なかった場合女の命は無い』
(フン!上等だぜ!!家虎の犬共が!!今日こそ尻尾を掴んで、ご主人様共々地獄へ送ってやらあ!!)
三日後の丑三つ時、江戸城を抜け出した家竜は、手紙に書かれていた通りの時間にたった一人で、神社の境内にやって来た。
すると其処には、何時かの女剣士が同じく一人で待ち構えていた。
「・・・言われた通り一人で来たぞ!!人質は無事だろうな!!」
「ふん!安心しろ・・・私には女を殺す趣味は無い。約束通り後で解放してやるよ・・・だが、残念ながらお前と彼女は、二度と会う事は無い・・・何故なら・・・」
「何故なら?」
「何故なら・・・お前は今日この場で死ぬのだから!!」
女剣士は編み笠を脱ぐと家竜に投げ付け、それを囮に抜刀による居合を、抜く手も見えぬ素早い速さで、家竜に対して放った。

******************************

 ここで時刻は遡る。
 刺客の女剣士の乗る小舟を追跡した楓は、易々とその隠れ家を発見した。
 彼らがたどり着いたのは江戸郊外にある荒れ寺であった。
 周囲には鬱蒼とした木々が広がっている。
(仲間は何人くらいいるのかな…?)
 楓はそれを確認するために、するりと寺の屋根に登った。
「…待っていたぞ、女」
 屋根の反対側には男が座っている。
 見ればさっき小舟を操って女剣士の逃走を助けた男だ。
 かなり小柄で、顔には覆面のようなものを巻いている。
(こいつも忍びか…。しかしいつの間に?)
 楓にも気配を感じさせず先回りするとは、かなりの手練れであることは間違いない。
 しかし楓には自らの腕に自信があった。
 しゅっ! しゅっ!
 まず楓が先に仕掛けた。
 太ももの革帯にくくりつけたクナイを投げつけるが、男は紙一重のところでかわしてしまう。
 ぴゅ―――っ!
 今度は男が懐から取り出した分銅付き投げ縄を幾条も投げつける。
 キン! キン! キン!
 楓は腰の刀を抜き、難なく投げ縄をはじいていく。
(投げ縄使いか…。ここじゃまずい。森で勝負をつけよう)
 そう思った楓はひらりと飛び降りると、森へ向かって走り出す。
 森に入ると、やはり男が先回りしている。
 男が忍刀を構えて突っ込んできた!
 楓はその刀を避けて木の上に飛びのいたが、ちくり、と何かが脚に触れた。
 はっとして見回すと、周囲の木々には毛針がくくりつけられた細いテグスが張り巡らされている。
「ふっふっふ。最初からここに誘い込むつもりだったのよ…」
 下から男の声が聞こえた。
 種類は不明だが、何かの毒であることは間違いない。
(まずい! ここは一度引いておこう!)
 瞬時に判断を下し、楓は飛び降りて逃走をはかった。

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