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暴れん棒将軍
官能リレー小説 - 時代物

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暴れん棒将軍 17

珊瑚はその質問に一瞬辛そうな表情を浮かべたが、気丈にもスグに笑顔を作る。
「うん!何もされて無いよ!!」
「そうか・・・良かった・・・」
 家竜は珊瑚の身体をちらりと見た。
 はおっているのは緋襦袢一枚。大きく開いた胸元からは縄跡も垣間見える。
 年頃の若い女がこういう姿にされて無事であったとも思えない。程度はともかく何かあったのだろう。
 そんな状態でも自分を心配させまいと必死に嘘をつく珊瑚が愛おしくて、思わずぎゅっと抱きしめた。
「俺はもう行くぜ。これから助けてやらなきゃならねぇ奴がいるんだ」
「…がんばってね」
「後は屋敷に踏み込んでくる奉行所の奴らの言うことを聞いてろ。そうすりゃ家に帰れるぜ。お前の身体は、後で俺が隅々までじっくり取り調べしてやる…」
 家竜は珊瑚の耳元でそう囁いた。
「うん。待ってる。いっぱい、いっぱい調べてね!」
 珊瑚はぽっと頬を染めて嬉しそうに答えた。

ぴ〜!!ドン!ドン!ドン!

「へえ・・・忠成の野郎もう少し来るのに時間が掛ると踏んでたんだが、意外と速かったな・・・」
珊瑚と家竜が抱き合っていると、屋敷の外から太鼓の音が聞こえて来た。
「ご主人様・・・どうやら奉行所が動いたようです・・・ケリを付けるのなら早くした方が宜しいかと・・・」
突如暗闇からくノ一の楓が現れる。
「え!?・・・この子何所から!?」
家竜自身は、楓を始めとする凄腕の忍び達のこの登場は慣れているが、一般人である珊瑚は心底驚いたようだ。
まあ剣術を趣味とし、達人級の腕前である家竜でさえも、楓が本気で気配を絶ったら、分からないのだ。武術の心得の無い珊瑚にしてみれば、突然人が現れた様に感じただろう。
「ああそうだな・・・この船に乗せられていた以外の女達は、救出できたのか?」
「はい・・・ただ紫月姫様だけは、発見出来ませんでした・・・どうやら敵の親玉に捕えられている様です・・・現在和馬様が救出に向かっています・・・」
「そうか・・・悪いな珊瑚どうやら妹が囚われたままみたいだ!仕方ねえから助けに行って来るぜ!!」
楓の報告を聞くと、家竜は最後に珊瑚にキスをして船を後にする。



家竜と楓が助けに行くと、家竜の妹である紫月姫を人質に取られたのか、ちょうど和馬はピンチに陥っていた。
「紫月を離せ!!この下種野郎!!」
和馬の叫びに、人買い共の親玉である陣兵衛は下種な笑みを浮かべる。
「ふ・・・フン!!成程目的はこの小娘か!!・・・オイ小僧!!この女の命が惜しけりゃとっとと刀を捨てろや!!」
そう言うと男は短刀を紫月の首筋に押し当てる。
「くっ・・・卑怯な・・・」
どおやら追い詰めた事が仇と成っているみたいだ。陣兵衛は血走った目で、和馬を睨み付けている。
「フン!!知った事か!!・・・オイっどうするんだ?手前の命と女の命好きな方を選びな!!」
「わ・・・分かった・・・好きにしろ・・・」
和馬は紫月を救う為に脅迫に屈して刀を地面に置いた。
「ククク・・・そう、そう、そうやって素直にすりゃあ良いんだよ!!安心しな!!一瞬でアッサリ逝かせてやるよ!!」
和馬は覚悟を決めて目を瞑った。
(全くしょうがねえな〜これだから甘ちゃんは・・・)
「オイ!!この馬鹿!!何女を助けもせずに諦めてんだコラ!!」
和馬が今まさに殺されようとしている時。ギリギリのタイミングで家竜は救出に間に合った。
「たく!!人の計画ちゃんと聞いて無かったのかよ!!囮が俺でお前らが本命だって言っただろうが!!・・・まあお前らが囮に成ってくれたお蔭で、牢屋の女は全員助けられたがよ・・・」
家竜の言葉に陣兵衛は狼狽する。
「て!!手前!!俺様の商品に何しやがった!!」
「ハハハ悪いのは耳か?それとも頭か?牢の女たちは、全員助けたって言ったんだよ!!」
「そ、そんな馬鹿な!!!」
「…それ、嘘じゃないね。全部あたいがやった」
気配を消して家竜の後を付いてきた楓が、気配を露わにして、立て膝待機で家竜の後ろにすっと現れた。

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