全てを失ったお姉さんがショタに救われる話 31
そんな元気になった涼真くんにみんな可愛がられた数日後。
私は雪から銭湯に呼ばれた。
「あら、番台も少し変わったのね」
「まあ、私が仕事やりやすいようにね」
以前はお婆さんが座っていた番台にはパソコンまで運び込まれている。
「維持費は普通の銭湯より安いけど、収入としては心許ないから他の仕事もしながら出来る様にしたのよ」
雪は以前から株とかやっていたらしく、比較的堅実な運用でお小遣い程度にはなっていたとか言っていた。
それがこの里に来てから好調と言う話だ。
「今日はその話じゃないよね?」
「うん、里の農家のお婆さんから柚子貰ったから今日は柚子湯にする予定」
いくつもあるダンボールとほのかに香るいい匂いはその為だったのか。
確かに今日は冬至だ。
「男女の湯船に柚子入れて、私達で一番風呂しちゃおう」
「いいねそれ」
それでわざわざ開店前に呼んでくれたんだろう。
全ての湯船に柚子を浮かべてもまだ余るくらい。優子さん家にもお風呂があればいいのに、と思うくらいだ。
「うーん、いい香り」
「奏ちゃん、開店前だし男湯入っちゃおうか」
「せっかくだからそれもいいかもね」
ここは男湯と女湯で内装が違い、男湯は木をふんだんに使った内装で湯船も木製だった。
元々は男湯も女湯も同じだったらしいのだが、男湯の方は改装されていたみたいなのだ。
「こっちの方が好きかなぁ」
「いずれ女湯も改装したいぐらいね」
そんな事を言いながら2人で湯船に入る。
この温泉の湯は割と濃い乳白色で、伝説によると皮を剥がれた兎を癒すのにこの土地の女神が母乳と源泉を混ぜて浸からせて癒し、それ以降女神の乳のような乳白色に温泉がなったと言う言い伝えがあると聞いた。
その源泉も殆ど枯れ、残るはこの温泉に使われている一本だけになったみたいだ。
でも老人達によると、この温泉の湯が一番濃いと言う話だ。
「これならおっぱい出ても分からないわよね」
「そうよねぇ・・・もう私達本当にホルスタインになったぐらいたっぷり出るけど・・・」
雪が微笑む。
「もう乳牛とかホルスタインって呼ばれるのが嬉しいかも」
「私もよ」
スッと雪の手が私のおっぱいを触る。
私の手も雪のおっぱいに添えられている。
母乳が出るようになってお互いワンサイズ大きくなったおっぱい。昔は周りの目が嫌でしかなかったけど、それも今は違う。
「ここに来て良かったって思う」
「そう思ってくれたら嬉しいな」
「奏ちゃん、可愛い。キレイ」
「ああっ、ゆ、雪っ」
油断してたら雪が背後に回りおっぱいを両手で掴まれる。
揉まれるとピュッとミルクが噴き出す。
「狭間牧場一のホルスタインちゃんはやはり違いますなぁ、おっぱいも大きくなってるし」
母乳が出るようになって以来膨らんだおっぱいは、以前は雪と同じぐらいだったけれど今は分かるぐらい私の方が大きくなっている。
「雪も負けないぐらいウシチチ女だよ」
「ふふ、そう言われるのが嬉しいって、以前では考えられなかった・・・」
私のおっぱいを揉むのをやめない雪が熱い吐息を漏らす。
「奏が結婚するって聞いた時は嬉しいけど凄く寂しかった・・・」
「雪・・・」
「だから、何か今は幸せ」
まあ、私もそれは同感だ。
雪が涼真くんに抱かれても嫉妬感は全く無いどころか、同じ男に愛されて幸せを感じてしまっていた。
それは私だけでなく、雪もそう感じてるみたいだし、私達以外のみんなも同じ感じみたいだった。