PiPi's World 投稿小説

全てを失ったお姉さんがショタに救われる話
官能リレー小説 - ショタ

の最初へ
 1
 3
の最後へ

全てを失ったお姉さんがショタに救われる話 3

ご両親の教育も良かったのだろうけど、涼真くんが優しい子だから今一緒に居るのかもしれない。
お母さんを助け、見ず知らずの怪しい女にも声を掛けてくれる。危ういくらいの優しさに助けられてしまったんだね。

「……ねぇ、奏さん? 行く所もやりたい事も無いなら、しばらく私たちを助けてはくれませんか?」
「えっ…………えぇっ!?」

優子さんが言うには、隣の寂れた『Cafe』が新山一家の収入源であり、旦那さんが遺してくれた思い出のお店なんだそうだ。
この街は海と山に囲まれたちょっとした秘境で、観光シーズンの儲けを収入源にしている住民の多い、一種の観光地なんだそうな。
地元の漁師さんや農家さんは自分たちの分と食堂に卸す分を細々と作り、工場や企業は隣町などに集中しているとか。
観光といっても日帰り客がメインな為、宿泊施設などは予約前提の民宿だけなんだって。
私の聞いたような大規模な施設が無いから、涼真くんもよくは知らなかったらしい。

「ですから普段は人手も必要なかったんですけど、あの子達の将来を考えたら……ね?」

今までは僅かな遺産をやり繰りしながら、日々の生活費の余禄でなんとかなった。
けれど中学に進学する時の諸々の費用を考えると、今のままでは苦しくなるんだそうだ。

「それに義務教育だけなんて……働くにしても高校で学んだ方が良いですよね?」

涼真くんや玲奈ちゃんに苦労をさせたくない、少しでも笑って学生生活を楽しい思い出に変えて欲しい。
仕方ないから無理に大人になるんじゃなくて、色んなことを知って経験する時間を作ってあげたい。
そんな親の愛情が感じられて、今の私には効果覿面だった。

私に求められた助けというのは、長期休みなどの書き入れどき限定のバイトではなく、旦那さんの穴を埋めるような一種の正社員だった。
今現在は人手の問題もあり、お昼過ぎから夕方までの休憩客をターゲットにした営業に絞ってるらしい。
それにプラスして朝昼晩の軽食と、食後の一服にも対応したいんだとか。

「始めは仕事を覚えてもらうために、今まで通りの営業から入ってもらいます。慣れてきた所で、少しずつお店を開ける時間を延ばしていきたいのよ」

「なるほど…そういうことでしたら」

どんなに忙しくても必ず自炊するようにしていたし、学生時代は社割や賄いアリの飲食店を選んでバイトしていた。会社でも広報部にいたから、お店のPR活動もできるかもしれない。
涼真くんに救われた身だ、彼の為になるなら一肌脱ごう、そんな気持ちも湧く。

 
私たちの話が一区切りついた頃、涼真くんたちが手伝いを終えて帰ってきた。
とりあえずは物置になってる部屋を貸してもらえるらしく、明日から準備を始めることになりました。

「お母さ〜ん、終わった〜!」
「はぁい、ありがとうね。……奏さんも疲れてるでしょうし、みんなで銭湯まで行ってらっしゃい?」
「分かった、準備してくるよ。玲奈、行くよ」

正直、勢いだけで此処まで来たり泣きはらしたりで疲れていたから、この提案は嬉しかった。
優子さんは布団の準備などもある為、自宅で済ませるそうだ。
着替えとしてスウェットを借りて、玲奈ちゃんと手を繋ぎながら3人で夜の街を歩いた。

お月さまに照らされながらシャッターの閉まった通りを歩いていると、冒険みたいで不思議な高揚感がわいていた。
散歩にピッタリの歌を口ずさんでしまうと、隣からも愛らしい歌声が聞こえてきた。
銭湯の明かりに吸い寄せられて近づくと、涼真くんが番台のお婆さんに声を掛けてくれた。

「おぉおぉぅ、良く来てくれたね涼ちゃん。だけど男湯の調子が悪くてねぇ、悪いんだけど女湯の方に行ってくれるかい?」

「うん、いいよー」
元気よく返事する涼真くん。この銭湯にもよく行くのだろう。
玲奈ちゃんの方を気にすると、嫌な顔せずニコニコしていた。そろそろお年頃なのでは?と心配したが兄妹仲の良さがそれを上回っているようで。

「今日は綺麗なお姉さんが一緒なのねぇ」
「ああ、どうもです…あの子たちのお母さんのお店のお手伝いをすることになりまして…」
「おお、そりゃあ良かった…優子ちゃんも旦那さんを亡くして店を畳んでしまうんじゃないかと心配してたからねぇ…」

SNSでこの小説を紹介

ショタの他のリレー小説

こちらから小説を探す