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全てを失ったお姉さんがショタに救われる話
官能リレー小説 - ショタ

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全てを失ったお姉さんがショタに救われる話 2

自分なりに貢献してきたつもりの会社では味方がおらず、一生を支えあおうと誓ったはずの相手には見捨てられる。
ついには親ですら娘の話を碌に聞かず、慰めもせずに自分たちの世間体のために縁を切った。

「うっ……うぁっ……うわぁあぁぁん、あああぁっ、んんんぅ、うあぁぁああぁぁぁぁ!!」

涙を拭うことすら忘れ、子供みたいに泣きじゃくってしまう。
握り返される手の温もりが凍っていた心を解かして、やっと私は泣くことが出来ました。

夕日が水平線に半分顔を隠し、夜の帳が天を覆い始めた黄昏時。
最低限整えていたメイクも崩れちゃって、泣きはらした瞼が腫れて熱くなっちゃった。
人に見せられないはずの顔なのに、隣の少年に見られるのは恥ずかしくも嫌じゃなかった……
握ってくれてたのと反対の手が頭を撫でてくれて、前髪が垂れてきてるけど嬉しかったんだよ?

「ありがとう、嬉しかった」
ずっと言葉も交わさなかったけど、慰めてくれた彼にお礼を言う。
まだ心配そうに、そしてちょっと恥ずかしそうに私の顔を覗き込む。

「この近くに、コンビニってある?」
今後のために無いなりに溜めてきたお金を、今晩の旅費にしようと考えていた。

「ここから1時間くらい歩かないとないと思う」
「な、なんですと(汗)」
田舎だ田舎だとは思ったけど、まさかそこまでとは…
「じゃ、じゃあさ、この近くにホテルとか旅館って」
「ない」
「うわぁ(滝汗)」

なんだこれ、人生終わらす前に詰んだか?
ホテルもなければネットカフェはもちろん、24時間営業のファミレスやカラオケボックスだってないだろう。ああ、こういうときに限って息苦しい都会が羨ましい。

「お姉さん、家に来なよ」
「うぇ、い、いいの?」
彼から出た衝撃の一言。本気かと思って尋ねると、返事もなくコクンと頷いた。

「お母さんも妹も、きっと喜ぶと思う」
そして彼はそう言った。


そんな彼の精いっぱいの心優しい提案を、私は無下に断ることなんてできなくて…


「ありがとうございます。突然やってきてご飯まで頂いて…」
「いえいえ、ごゆっくりしていってください。家族が一人増えたみたいで嬉しいんですよ」

彼のお家は海岸沿いから坂道を上った小高い丘の上にある。
私が乗り継いできた鉄道の線路を見下ろす感じで、窓からは夜の海を見渡すことができる。こんな放浪じゃなかったらきっと「インスタ映えだ!」なんて喜んで写真を撮りまくっていただろう。

彼―新山涼真くんは小学6年生で、この家にお母さん・優子さんと妹で小学4年生の玲奈ちゃんと一緒に暮らしている。
少し気になったのは一戸建てのお家の隣に寂れた『Cafe』と書かれた看板がある建物があったこと、それとお父さんの姿がない―涼真くんもあの時言及しなかった―ことだった。

夕食が終わり今は涼真くんと玲奈ちゃんが2人で分担しながら食器を洗っている。とても仲のいい兄妹のようで微笑ましい。
私には歳の離れた兄と1歳下の妹がいるけど兄とは玲奈ちゃんくらいの歳の頃には会話がなくなり妹とは趣味や性格が正反対だったこともあり彼らのようなことをすることすらなかった。2人ともとてもいい子だから、どうか大人になってもこんなスレたお姉さんみたいにはならないでくれと願うまでだ。

「奏さんはどうしてこんなところまで…?」
「あっ……えっと…」
正直に話すべきか迷った。あの一言でドン引きさせかねないか不安になった。でも、優子さんはあのよくできた兄妹のお母さんなんだからきっと大丈夫と信じ、打ち明けた。




「…………以上です」
「そうですか」
優しい笑みのまま、優子さんは何かを噛みしめるように頷いていた。

「奏さんは、何も悪くないと思います」
「ありがとうございます。そう言ってもらえたら嬉しいです」
全てを失い捨てられたことに悔いは残る。ただ私にだって落ち度はある。だからこれ以上は何も…できればもう忘れたいことだ。

「ところで、旦那さん、あの子たちのお父さんは…」
「3年前に亡くなりました。ガンだったんです」
「ああ、それはすいませんでした」
「いえ、大丈夫ですよ。それからはあの子たちが何かと頑張って、私を支えてくれてますから」

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