ショタなペット【第四部】〜和己のその後〜 95
「うぅん……」
和己は1時間ほど眠って目を覚ました。既に香奈は居なくなっていた。先に起きたのだろう。
「三連休だからと言ってだらだらしているわけにも行かないよね……」
和己は独り言を呟きながら週明けの指導案を作り始めた。
「『戦間期の世界』だから……ワイマール共和国は外せないよな……」
そこへデパートに行っていた美雪と優花が帰宅。
「あ、お帰り。」
「ただいま。家に居てもお仕事大変ね。」
優花は和己を労う。するとそこへ
「ただいま〜。」
風花に連れられ娘達も帰って来た。
「ただいま、パパ!!」
「わっ、沙耶…今日は機嫌が良いね…」
早速、沙耶は和己の部屋に行き、和己に抱き付いて来た。
機嫌の良い沙耶をみて、和己はどうしたか聞いてみる。
「風花お母さんに新しい服を買って貰ったんだ。今夜見せてあげるね」
「良いよ…でも、なんで今夜なの?」
「教えない」
風花に服を買って貰った事を話し、今夜和己に見せると言う沙耶。
話を聞きなんで今夜なのか、不思議に思う和己であった。
しかし、沙耶は教えなかった。
(ふふ、パパ楽しみにしててね。私の女王様ルック。)
沙耶は今夜、和己がどんな反応をするか期待し、心を躍らせた。
全員が帰ってきたのを見た香奈は
「みんなお帰り。お茶にしましょう。」
と言う。そしてオーブンを覗き込み
「もうすぐカイザーシュマレンが焼けるわ。楽しみにしてね。」
と微笑んでみせる。優花が
「又ママは張り切ったわね。」
とやや呆れたように言う。一方で優奈が
「え?何それ?」
と聞き返す。優奈以外の娘達も頭に「?」を浮かべている。
「貴女たち食べた頃あるはずよ。」
香奈は焼きあがったカイザーシュマレンをオーブンから取り出す。
「牛乳、卵黄、小麦粉、砂糖を混ぜたところに、卵白のメレンゲを入れてバターで焼き上げるの。ウィーンでは有名なお菓子よ。これを一口大にちぎってジャムとかつけるの。」
香奈はそう言いながら粉砂糖、杏ジャム、メープルシロップ等を並べ始めた。
「美味しそう。食べるね。」
風花が早速手をつける。
「永子は〜メープルシロップで食べる〜。」
「私は……ジャムで。……優奈お姉ちゃんは?」
「私もメープルシロップかな?」
各々がカイザーシュマレンに手を伸ばす。
「僕は粉砂糖をかけよう。あれ?沙耶?」
今夜のことを考えていた沙耶は出遅れたが
「あ、私も食べる〜。ジャムとって〜。」
とおやつの輪に加わった。
「あらあら。」
「ふふふっ。」
香奈が呆れると美雪も静かに笑った。
「あ、私紅茶淹れますね。」
優花が立ち上がる。
平和な百合宮家のティータイムだった。