ショタなペット【第四部】〜和己のその後〜 52
暫く迷った末、優奈が注文するものを決めたと言うのでボーイを呼んだ。
「御用お伺いいたします。」
「ヒレステーキセット。それとパインジュース。」
「お肉の焼き加減はいかが致します?」
「レアで。」
「ライスとパンはどちらに致します?」
「じゃあライスで。」
「サラダのドレッシングのご希望は?柑橘、和風、青じそ、フレンチ、中華がございますが。」
「じゃあ柑橘で。」
優奈が頼み終えると
「じゃあ僕も同じで。サラダのドレッシングだけ青じそにしてください。」
と和己も注文した。
「かしこまりました。」
ボーイが下がると、すぐさま店員が目の前の鉄板でステーキを焼き始めた。
「ねえ、パパ?」
「如何した?」
「……やっぱり何でもない。」
「話してご覧よ。」
「……恥ずかしいよ。」
「気になるなぁ……」
優奈は顔を赤らめて
「……私……パパが好き。」
と、普段の愛よりも小さな声で言った。
「あ、ありがとう……」
和己は優奈の口調や表情から「Like」ではなく「Love」であることを感じ取り、そう答えるだけにした。
「お待たせしました。」
レアのステーキが二人の前に出された。
「わぁ……美味しい……」
早速手をつけた優奈が目を輝かせる。
「そうだね。うん、美味しい。」
付け合せにポテトフライや人参も添えられている。味付けも薄めで、舌の肥えた二人にぴったりであった。
「パパ、ライスも美味しいね。」
「うん。」
「こちらは国産のコシヒカリ100パーセントでございます。」
やや得意そうに店員が言う。
「ふ〜ん。」
優奈はそう良い、食べ進める。
「ねえ、食事中にジュースなんて、ママに怒られそうだね。」
「え?」
「だってママは『ジュースはご飯の後にしなさい』って言うでしょ?」
「そうだったね。外食の時は良いんだよ。」
「パパは優しいね。」
「僕が怒っても怖くないでしょ?」
「それは納得。」
そんな事を喋りながら、二人は食事を終えた。
「ご馳走様。」
優奈がナイフとフォークを揃えた。
「満足した?」
「うん。丁度良かった。パパ、ありがとう。」
「如何致しまして。食休みしたら帰ろうか。」
優奈も何とか立ち直った様子で安心した和己であった。
「そうだ。」
和己は百合宮家に電話し、リムジンを来させることにした。食休みが終えた頃にはリムジンも到着し、待っているだろうと踏んだのだ。
「お客様、コーヒー、紅茶、ウーロン茶のサービスをさせていただきます。どれになさいます?」
「優奈、決めて良いよ。」
「じゃあミルクティーで。」
「かしこまりました。」
和己と優奈はサービスのミルクティーを飲みながらリムジンを待った。