ショタなペット【第四部】〜和己のその後〜 17
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「永子、大丈夫?」
優奈が心配そうに訊く。
「永子…しっかりして…」
愛も永子に言う。
「お姉ちゃぁ〜ん!怖かったよぉ〜!」
「もう……しょうがないわね……」
愛は永子を抱き締め、優奈は
「よしよし。」
と頭を撫でる。
「……ちょっと刺激が強すぎたかな……」
優花はやや失敗したと感じていた。
「さっ沙耶…………」
「へへへ、だってパパ可愛いからお化けに喰われると思ったんだよ。」
「はあ〜」
「・・・・・・・・・・・」
何と沙耶はどさくさにまぎれて和己に抱き付いていた。
しかも、パパがお化けに喰われると誤魔化す。
その事に優花は呆れて何も言えなかった。
そして、和己は娘にも可愛いと言われてショックな様である。
「さ、さあ次は何かな?」
和己がショックを振り払うように言うと
「トリックアートよ。」
と答える優花。
「とりっくあーと?」
優奈が聞き返した。
「エッシャーの『滝』って言う絵知ってるかしら?」
「あ……それ私知ってる……」
愛が反応した。
「確か……滝から水が落ちてくると……それが水路を伝って……いつの間にか滝の上に行って……また落ちてくる……っていう奴でしょ?」
「へ〜愛、良く知ってるね〜。」
沙耶が感心したように言う。
「ま、見たほうが早いわ。行きましょう。」
優花はそう言って歩き出す。
「これは有名ね。」
入ってすぐにペンローズの三角形の図が描かれている。
「これは〜何がおかしいの〜?」
沙耶は理解していないようだ。絵の下には断面が正方形の木の棒が置かれている。
「ここに棒が三本あるから、同じ形作ってご覧。」
和己はそう言って沙耶に棒を渡した。
「ええと〜あれ〜?なんで出来ないの〜?」
「こういうのは……不可能立体だよ……」
愛がそう言うと沙耶は頭の上に?マークを浮かべていた。
ふと優奈を見ると、エッシャーの「滝」に見入っている。
「ここから落ちて来た水が……こうなって……あれ?何処で戻ったんだろう……」
永子はヒルの「娘と老婆」を見ている。
「ね〜パパ〜おばあさんしか見えてこないよ〜?」
「おばあさんの目を耳だと思ってご覧。」
「ここが耳〜?」
「で、鼻のところが顎のライン。」
「あ〜分った〜。」
一方沙耶は未だにペンローズの三角形に悪戦苦闘している。