ショタなペット【第四部】〜和己のその後〜 105
大渋滞を抜け、百合宮邸へと向かう一行だが、すでに昼を大きく回っていた。
「ねえ、みんなお腹空かない?」
風花が言うと
「そうね。」
言葉少なに返す美雪。
「私も〜さっきから言おうと思ってた〜。」
「永子も〜。」
沙耶と永子が同調し、優花も
「そろそろお昼食べたいわね。」
と言った。
「じゃあちょっと探すわね。」
優奈が携帯電話を出し、周辺情報を調べ始めた。
「何が良いかな?ねえ愛、何かある?」
「え……ええと……」
「好きな物言ってごらん。」
「……洋食……かな……」
愛が搾り出すように言うと
「よく頑張ったわ。」
優花が愛の頭を撫でた。愛も最近は少しずつ積極的になり、自分の意見が言えるようになってきたのだ。
「じゃあここにしようか。」
優奈が店を決める。
「ちょっと停まってもらって良いかしら?」
「はい。」
香奈が声を掛けいったん停止してもらう。そして優奈の携帯電話の画面を見せ
「ここへ行ってもらえるかしら?」
「はい。かしこまりました。」
一向は洋風レストランへと向かうことになった。
窓際の席に案内された9人。窓を背に左から優奈、沙耶、愛、永子が座り、優奈の向かいに美雪、沙耶の向かいに優花、愛の向かいに和己、永子の向かいに風花、そして永子と風花の間のいわゆる「お誕生日席」に香奈が座った。
「好きなもの頼んで良いわよ。」
香奈が言いそれぞれがメニューを見る。
「永子は〜オムカレー&ミニサラダにしよ〜。」
「私はシーフードピザとサラダスープセットにするわ。」
「沙耶はピザ好きなのね。私はリブロースステーキをレアで。あ、ミニライスつきで。愛はどうするの?」
「……きのこパスタ……」
4人の娘がまず注文を決めた。
「僕は……シーフードドリア。」
「私はチーズハンバーグのライススープセット。」
「あ、私も美雪ちゃんと同じにするわ。」
「コーンクリームスープとマッシュルーム入りサラダ、でヴィナーシュニッツェル。」
「優花、ヴィナーシュニッツェルって何?」
「子牛のウィーン風カツレツよ。お姉ちゃん決まった?」
「秋野菜のフリッターにフランスパン。」
和己、美雪、香奈、優花、風花の順に注文を決め、ウェイターがそれをまとめる。
「では少々お待ちください。」
ウェイターが下がっていった。
まもなく料理が運ばれてきた。
「美味しそう。いただきます。」
早速香奈が食べ始める。
「沙耶お姉ちゃ〜ん、ピザ一口もらっていい〜?」
「いいよ〜。ってか一切れあげる〜。」
「ありがと〜。」
「永子、リブロースステーキも食べてみる?」
「わ〜ありがと。」
「はい、あ〜んして。」
「あ〜ん……はむっ……レアのステーキも美味しいね〜。」
「愛お姉ちゃん、永子のカレー食べてみる?」
「……あ、ありがと……ここに入れてくれるかしら?」
パスタの皿の端に置くように言う。
「あ〜んして〜。永子が〜食べさせてあげる〜。」
「……自分で食べられるから……」
その光景を見て
「ふふ、愛の精一杯の抵抗ね。」
と優花は微笑んだ。