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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 972

「こっちで行うんですか?」
「ロケ地がこの辺ですからね。それもあって和彦さんと一緒に来たんですよ」
…まあ僕らのエピソードだからか…ロケもこのあたりでってのはちょっと恥ずかしさが増すかなぁ。

「頑張ってくださいね」
「ええ…私の女優としての集大成ですもの」

「そのことって世間には発表するんですか?…」
花咲夢乃が引退するとなると、大騒ぎになるだろうな…

「入りを考えると製作会社はそうして欲しいんじゃないかしら…?」
確かにこれが見納めとなると、ファンじゃなくても映画館に脚を運びそうだよね。
「とにかく、私は映画に全力を尽くす。それだけね」
表情にも言葉にも強さを感じる。今は花咲夢乃としての振る舞いかもしれない。

「公開されたら観に行きますよ」
「ありがとうございます…」
二つの顔を使い分ける…さすがだ。

「実は相手役の伊藤啓って、知り合いなんですよね。」
こういうことは先に言っておいた方がいい気がした…

「あらぁ…そうなの?」
やっぱり由乃さんは何も知らないんだな…

「はい…以前はこの敷地内の離れに住んでいたんですよ…」
窓の外に目を向け、遠くに見える洋館を指差す…

「今は料理人の方が住んでるお宅ですね」
「ええ、元はこのお屋敷の庭師の息子なんです」
「そうなのね…」

由乃さんも同じ方向を向いて目を細める。
「私がやる役も料理人さんがモデルだそうで、ますます縁を感じてしまいますね…」

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